2020年4月25日土曜日

発達障害対策のための健康産業との連携、発達障害支援のための生涯スポーツ、「発達障害≠障害」が理解されていない、発達障害児への間違った対応が悪化させる、発達障害児はパニック発作を起こしやすいのか

発達障害対策のための健康産業との連携、発達障害支援のための生涯スポーツ、「発達障害≠障害」が理解されていない、発達障害児への間違った対応が悪化させる、発達障害児はパニック発作を起こしやすいのかについて

#1
 発達障害対策のための健康産業との連携

#2 発達障害支援のための生涯スポーツ

#3 「発達障害≠障害」が理解されていない

#4 発達障害児への間違った対応が悪化させる

#5
 発達障害児はパニック発作を起こしやすいのか

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

発達障害対策のための健康産業との連携

地域住民の健康を支えるヘルスケア産業は、医療、福祉、食事、運動などの分野で多くの企業が参画しています。

ヘルスケアは健康の気づきの機会を提供するサービスとの接触から始まりますが、気づきの機会は自治体、医療機関のほかに、交通機関、宿泊施設、商業施設、フィットネスクラブ、スポーツ団体などがあり、さらに情報メディア、IT産業などにも拡大しています。

気づきから実際の商品・サービスを活用するまでには、情報を取りまとめて有効に活用する対象者の元に届ける役目が必要となります。

現在のヘルスケア産業は高齢者を対象としたものが主流となっていますが、経済産業省による次世代ヘルスケア産業の構想では、次世代のためのヘルスケアも想定しており、子どもを対象とした地域包括ケアのための商品・サービスの早急な開発についても求められています。

ここで岡山市の話題となりますが、岡山市のSDGs健康好循環プロジェクトでは「新たなマーケットやビジネスモデルの創出」が課題として掲げられており、子どものための地域包括ケアにおいても重要なテーマとなります。

子どもの地域包括ケアの対象者である病児、障害児、発達障害児はヘルスケア産業の商品・サービスの受け手ですが、そのうちの発達障害児は通常とは異なる特性があって、この特性を活かすことによって成長後には次世代ヘルスケア産業の担い手となって活躍することが期待されている人材です。

ヘルスケア産業の一翼として位置づけられているスポーツ団体のうち生涯スポーツ団体は、生活習慣病・メタボリックシンドローム対策、ロコモティブシンドローム・フレイル対策、認知症対策などに成果をあげています。

一生涯にわたって続けられるスポーツではあるものの、参加者はシニア層が多く、中高年(40歳以上)では生活習慣病やメタボリックシンドロームの改善を目指した方の参加が目立っている状況で、それ以外の年齢層の参加者は極めて少ない状況です。

発達障害児(18歳未満)と発達障害者(18歳以上)のうち青年層(40歳未満)は社会適応が苦手ではあるものの、自分の考えが受け入れられる場面では対応力があり、こだわりがあることについては集中力を発揮して打ち込めるという特性があります。

生涯スポーツには多くの種類があって適するものを見つけやすいうえに、対象者に合わせてルール変更などに柔軟に対応している生涯スポーツ団体もあります。

発達障害児と発達障害者は生涯スポーツの参加者の立場だけでなく、指導者、運営者として活躍できる可能性があり、生涯スポーツの推進によって、岡山市のSDGs健康好循環プロジェクトが掲げる「健康寿命の延伸と社会保障費の抑制」を支える人材となることも同時に期待されています。

また、ESD(持続可能な社会づくりのための教育)は、子ども、親、祖父母の三世代の行動があって初めて達成できると認識しています。

発達障害児と発達障害者は家族の強い健康意識によって支えられ、将来にわたっての健康教育の担い手ともなる存在であり、岡山市のSDGs健康好循環プロジェクトが掲げる「ESDを活用した市民活動の活性化、市民の活躍の場の創出」にも合致しています。

#2

発達障害支援のための生涯スポーツ

「しょうがいスポーツ」という言葉を耳にして思い浮かべる文字というと“障害”のほうが多いかもしれません。

パラリンピックが広く理解されるようになってきた結果ですが、障害者を対象としたスポーツは健常者を対象としたものと同じ競技スポーツです。

スポーツ庁はスポーツ管轄の部署が競技スポーツ課と健康スポーツ課に分けられています。

オリンピックを最高峰とするスポーツもパラリンピックを最高峰とするスポーツも競技スポーツです。

健康スポーツのほうは、一般には生涯スポーツと呼ばれる一生涯に渡って続けられるもので、健康のためのスポーツに重きをおいている立場では“生涯”が先に頭に浮かんできます。

その生涯スポーツは、子どもから高齢者までが楽しみながら続けられるスポーツであって、継続するための工夫が競技内容だけでなく、組織体制にも運営体制にも工夫がされています。

その工夫があるからこそ、発達障害児の支援のための絶好の交流の機会とすることができると考えています。

発達障害児は社会とのコミュニケーション力に弱点があることが指摘されています。

学校や地域社会との交流がうまくいかずに、家庭から外に出て行くことを苦痛に感じている子どもも少なくありません。

そんな子どもたちのための新たな社会性を作り上げていく場として、生涯スポーツへの参加を呼びかけています。

競技スポーツに比べたら、運動強度が低いということよりも、健康づくりのための普及に力を入れていることから対応力があり、優しく受け入れ、優しい気持ちで見守ってくれるという利点があります。

対応力というのは、個人の特性を理解して受け入れてくれるという意味で、もともとの生涯スポーツのルールや運営法がなじまないところがある場合には、対象者に合わせて変更を考慮してくれる団体があります。

もちろんルール変更などには頑なな態度の団体がないわけではないのですが、そもそも人の生涯の健康を考えて活動をしているので、話し合いに応じてもらえないということではありません。

日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、公益財団法人日本健康スポーツ連盟の理事であったときに健康スポーツの複数の団体への情報提供や健康運動指導士の更新教育の講師を務めてきました。

日本健康スポーツ連盟の赤木恭平副理事長は岡山県高梁市の出身で、特定非営利活動法人日本ワールドゲームズ協会の会長を務めていることから、その関係性をもって推進しているところです。

#3

「発達障害≠障害」が理解されていない

発達障害児の支援施設は、支援が必要な子どもの数に対して少なすぎることを、岡山県を例にして以前に紹介しました。

岡山県の場合には1施設が50人を受け入れられるとすると7300人のキャパであるのに対して、発達障害児の総定数は2万4000人(子どもの数が約24万人の10%として計算)であるので、3人に1人も施設で支援が受けられないという状態となっています。

岡山県は医療、福祉、教育が充実した地域で、大きな社会福祉法人が活躍している優位な地域ですが、それでもこの状況なので、全国的に見ると受け入れてもらえず、家庭内で対応するしかない子どもたちは相当な数になっているはずです。

だからこそ、早期発見した発達障害児を早期支援のために受け入れてくれる支援施設を増やす必要があり、それを行政も支援しています。

経済的にも支援する仕組みもあるのですが、支援施設の開設のために物件を借用しようと動いても、なかなか貸してもらえないという現状もあります。

子どもたちが通いやすい、というか親が送り迎えしやすい交通の便がよいところにしようとオーナーに交渉しようとしても「障害児の出入りは困る」といった反応が返ってきます。

発達障害は障害ではない、発達障害児は障害児とは違うということを力説しても、病気の分類名は発達障害で、法律も発達障害者支援法で、しっかりと“障害”と書かれています。

それを見て、「発達障害=障害」と思い込んでいる人に対して、「発達障害≠障害」という認識を持ってもらうためには社会的な理解を進める地道な活動が必要だということは充分に認識しています。

そして、発達障害児の支援に取り組もうとして頑張っている方々を差別するようなことが起こらないようにするためには、社会的な理解のために発達支援に取り組んでいる方々、取り組もうとしている方々と協力しての活動が重要となります。

日本メディカルダイエット支援機構が地域活動として、おかやま次世代育成推進協議会とともに児童発達サポーターの養成に取り組んでいるのは、その意味もあるのです。

#4

発達障害児への間違った対応が悪化させる

発達障害の特性がわかっていれば、普通ではないと感じるような行動をする子どもがいても、温かく見守ってあげたり、危険や周囲への迷惑がなければ優しく接することもできます。

ところが、子どもが急に思わぬ行動をすると叱ってしまう大人も少なくありません。

その一番の原因は、発達障害が理解されていないことと、発達障害児の特性が理解されていないことです。

身体的な障害のある人の場合には、注意をすることが行きすぎて叱る、怒るようなことをされても、それでもともとの障害が悪化するようなことはありません。

精神的なショックが身体的な障害を絶対に悪化させないのかというと、そうではないかもしれません。

しかし、因果関係が証明されるほどの影響は出ないと推定しています。

これに対して、発達障害は脳の発達のズレが大きな原因であり、対人関係が苦手、急な変化に対応できないという特性を考えると、叱られたことによって、外に出ることや人と触れ合うことに支障が出て、状態を悪くすることにもなりかねません。

そのことが理解できていれば、注意をするにしても言い方、接し方が違ってくるはずです。

理解ができていないために、感情のままに発達障害児に対応してしまったら、その子どもの今の状態だけでなく、将来にわたっても影響を与えることにもなりかねません。

発達障害を理解するためのサポーター制度を、認知症サポーターをモデルとして作り、限られた地域からスタートさせることにしていますが、理解のための講習は、まずは多くの発達障害児・発達障害者と触れる機会が多い職種から始めることにしています。

こういった職種は、普段から優しい接触を心がけているはずなので、理解もしてもらいやすく、すぐに行動にも起こしてもらえるはずです。

実際に必要となるのは街中で子どもたちの勝手な振る舞い(?)を快く思っていない一般の
方々で、そこまで理解の輪を広げるためには、地域で大きな交流人数を抱えている団体などの力が絶対に必要になると考えて、支援者の輪を広げようとしているところです。

#5

発達障害児はパニック発作を起こしやすいのか

パニック障害とパニック発作は混同されやすいのですが、パニック発作はパニック障害の一つではなくて、パニック発作が起こって、この発作によって生活に支障が生じている状態になるとパニック障害と診断されます。

パニック発作は何らかのきっかけがあって、突然に動悸、息苦しさ、めまいが起こってしまい、このまま死んでしまうのではないかと激しい恐怖に襲われるという特徴があります。

不安になったり恐怖を感じる出来事に直面すると、誰しもが頻脈になったり、冷や汗が出たり、息苦しくなるのはあることです。

この状態が何の前触れもなく、突然に起こるのがパニック発作です。

通常ではパニック発作は、10分ほどでピークに達して、その後は自然と収まってくるので、慌てて救急車を呼ぶようなものではないと理解されています。

動悸、息苦しさ、めまいという大きな特徴のほかに、心臓のドキドキ、発汗、身震い、呼吸困難、胸の痛み、不快感、吐き気、ふらつき、麻痺感、寒気もしくは火照りといった状態を訴えることもあります。

激しい不安感に襲われ、その原因に心当たりがあるときには逃げ出したくなるのですが、逃げ出すどころか動くこともできなくなり、そのことが不安感を増幅させて、さらに精神的に苦しい思いに追い込んでいきます。

こんな苦しい状態のパニック発作になる確率が発達障害の子どもは2倍にも及んでいるとの研究結果があります。

パニック発作は一生の間に100人に4〜5人に起こり、100人に1人はパニック発作になると言われていますが、その2倍というのは多すぎる確率です。

発達障害は脳の発達のズレによって、通常の脳の反応ではないことが生じるものと理解されているのですが、発達障害を抱えている子どもも大人も不安を感じていて、それがあるために不安が増幅されやすく、パニック発作を起こしやすく、さらに生活に支障が生じるパニック障害が常態化しやすいということです。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

発達障害を理解するためのコンテンツ

発達障害者支援法

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