2020年4月26日日曜日

アメリカでは発達障害児の教育はプロが担当する、発達障害は空気が読めない存在なのか、発達障害と勘違いされるHSCは医師が判断できるのか、事件報道に発達障害と書かれないか心配する日々、発達障害の食事指導は大変だと言って避けていられるのか

アメリカでは発達障害児の教育はプロが担当する、発達障害は空気が読めない存在なのか、発達障害と勘違いされるHSCは医師が判断できるのか、事件報道に発達障害と書かれないか心配する日々、発達障害の食事指導は大変だと言って避けていられるのかについて

#1
 アメリカでは発達障害児の教育はプロが担当する

#2 発達障害は空気が読めない存在なのか

#3 発達障害と勘違いされるHSCは医師が判断できるのか

#4 事件報道に発達障害と書かれないか心配する日々

#5
 発達障害の食事指導は大変だと言って避けていられるのか

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

アメリカでは発達障害児の教育はプロが担当する

発達障害児の進学について議論されるときに、私立小学校は無理だという当事者の親の発言が紹介されることがあります。

私立学校の中には、発達障害児の親に、高校まで、もしくは大学までレールが敷かれているということで進学をすすめるところもありますが、これを受け入れられる家庭は多くはないはずです。

発達障害児の親が公立小学校の選択するのは、かかる費用の問題もあるのですが、知的の遅れがなくて発達障害の特性が強くなければ普通学級で学ぶことができるからです。

知的な遅れがなくて発達障害の特性があり、コミュニケーション能力や情緒に問題がある状態になっても、普通学級に在籍しながら通級指導が受けられることもあります。

通級は在籍校に特別支援学級がある場合は、そこで週に数時間、状態に応じて小集団か個別で、人との関わりに欠かせない能力を身につけるためのソーシャルスキルトレーニングなどの指導が受けられるものです。

在籍校に特別支援学級がない場合には、隣接校の特別支援学級に通うこともできるという制度で、公立小学校の場合には自治体の主導で連携が取れているので通級指導が受けられないことはない、という説明がされています。

知的な遅れがあるか、情緒面で集団生活が困難であると判断された場合には、在籍校の特別支援学級で学ぶことになります。

そして、知的な遅れがあって、身体的な障害がある場合には特別支援学校に通うことになります。

特別支援学校は、年齢相応の教育が施されるとともに、障害による学習上や生活上の困難を克服して自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としています。

特別支援学校では専門家による指導とケアが受けられるので、学校内の支援学級や通級でも同じような指導とケアを期待しがちです。

そこに“おまかせ”すれば、大丈夫と安心できたらよいのですが、専門性が高く、経験も豊富な教師がいる場合もあれば、そうではない教師が担当している例も残念ながらあります。

アメリカでは、特別支援教育を担当するのは、州によって違いはあるものの修士号取得者以上となっています。

それに対して日本は教員免許を持っていれば、誰でも教師になれ、また支援学級の教師にもなることができます。

まだ、支援学級の専門免許もなければ、普通学級で発達障害児を教育するための免許制度もありません。

これを国に求める活動はあるものの、それを待っていられないという考えから、発達障害児の家族の団体などが働きかけをしていますが、それと同時に個々での対応を進めるための教育と情報発信が必要であると関係先に訴えかけているところです。

#2

発達障害は空気が読めない存在なのか

「空気が読めない」というのは発達障害の人に限らず、また若者だけでなく、社会全体に広がっていることです。

発達障害の特性として、空気が読めないということがあげられることが多く、発達障害は10人に1人とされていることを考えると、空気を読めない人が社会全体に広がってきているのも感覚的には理解できるところです。

発達障害は本人のせいでも親のせいでもないとされることから、他人との交流がうまくいかない人は、自分のことを発達障害だと発言する人も少なくありません。

発達障害なら誰でも空気が読めないと勘違いされていることもあるのですが、空気が読めないという特性がみられるのは自閉症スペクトラム障害のほうで、注意欠如・多動性障害のほうは人付き合いで何をすべきなのかということはわかっているけれども、自分の感情や欲求が抑えられずに対人関係を壊すような言動をしてしまうという特性があります。

注意欠如・多動性障害は、じっとしていられない多動性、やりたいことが我慢できない衝動性、集中力がない不注意に大きく分けられますが、その場の空気は読めています。

それなのに「空気が読めない」と発言するのは、一つには自閉症スペクトラム障害が併存していることが考えられます。

発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害は完全に分類されたものではなくて、重なり合っていることもあります。

もう一つは、自分のことがわかっていないために起こっているという考え方で、先にも触れたように対人関係を壊すようなことをしているのに、それを理解していない、理解しようとしないということがあげられます。

実は発達障害ではなくて、対人恐怖症、社会不安障害、社交不安障害という場合もあります。

周囲の気づかいや労りがあっても、それを理解して交流を進めることができないので、「その場の空気が読めない」のではなくて、「状況としての空気が読めない」ということが指摘されているのです。

#3

発達障害と勘違いされるHSCは医師が判断できるのか

HSC(Highly Sensitive Child)は、生まれつき非常に敏感な感性があり、自分が受けた刺激に過敏に反応するだけでなく、他人の辛い出来事も自分のこととして受け取ってしまい、それで苦しんでいることが少なくありません。

HSCは医学用語ではなく、病気でもないことから医学的には治す対象とはされていません。

しかし、HSCは5人に1人もいて、この傾向は世界的に同じであるとされています。

このHSCが発達障害と勘違いされることがあるのですが、その勘違いは一般の方だけでなく、医師の中には知らない人がいるのは事実で、そのために発達障害の特性として誤って判断されることもあるのです。

HSCは4つの特徴があげられています。深く処理する、というのが第一の特徴です。

これは感覚的な情報を深く受け取って、考え込んでしまうことを指しています。

漫才のツッコミではないのですが、物事の本質を突くような鋭い反応をすることや、とても子どもの反応ではないと思われるような発言をすることがあります。

そうかと思うと、じっくりと考えているために行動に起こすのに時間がかかって、引っ込み思案のように見えることもあります。

次の特徴は、過剰に刺激を受けやすいことで、他の人なら気にならないような刺激に敏感に反応します。

その無意識な反応のために精神的にも肉体的にも負担がかかりやすく、疲れやすくなっています。

これが発達障害の自閉症スペクトラム障害の特性である感覚過敏と勘違いされがちなことです。

その次の特徴も発達障害と勘違いされることがあるのですが、感情の反応が強くて、周りの状況に飲み込まれやすいことが指摘されます。

感情の振り幅は誰にもあることですが、その振り幅が大きすぎて、泣いたり怖がったりして行動を抑えているのかと思うと、急に怒ったり癇癪を起こすようなこともあります。

もう一つの特徴は、変化への敏感な反応で、周りからしたら気づかないようなこと、気づいたとしても大したことではないとスルーするようなことであっても、見過ごすことができず、気になって仕方がないという些細な刺激への察知能力です。

これも発達障害の感覚過敏と勘違いされがちです。

#4

事件報道に発達障害と書かれないか心配する日々

なんでこんなことを起こすのだろうかと考え込んでしまうような事件が増えています。

発達障害を理解するメディアの方が増えるのはよいことで、発達障害についてメディアを通じて発信する機会が増えているのもよいことだと認識しています。

それは間違いがない気持ちなのですが、余分な情報として発達障害が取り上げられることについては、疑問を感じているというか、困った出来事だと思っています。

元官僚トップの子どもに対する事件報道で、子どもが発達障害であったことが伝えられたのをきっかけにしたかのように、犯罪や社会的な問題を起こしたことが報道されるときに、その原因追求の中に発達障害の有無が取り上げられています。

“有無”と書いたのは、発達障害であったという事実が書かれるのならまだしも、「発達障害ではなかった」ということが書かれていると、なぜに、わざわざ書いたのか、何か思うところがあるのかと勘ぐってしまいます。

事件の当事者が発達障害で、そのことが事件を起こすきっかけになっているなら、表現の自由があるメディアが取り上げることに口を挟むつもりはありません。

また、母親が虐待をしていたのが、子どもの発達障害で精神的に追い詰められていたという報道も、ある程度は仕方がないことであろうとは思います。

発達障害が関係していたことが明らかであるなら書くことも、またテレビ番組でコメントするのも認められるだろうと認識できます。

しかし、まるで枕詞のように「発達障害」と書かれると、あたかも発達障害があると事件を起こす、事件の原因になるという間違った認識をされて、これが差別につながることを恐れています。

差別を恐れるあまりに、隠してしまう親が増えることにもなりかねません。発達障害は、生涯治ることがないとされることから、子どものときの発達障害が大人になってからの行動に影響していると考える人がいるかもしれませんが、改善されても治ることがないという事実がわかっていれば、隠して治療や発達支援を受けさせないことが、かえって問題を起こす要因になる、差別を広げるということを理解してほしくて、こんなことを書かせてもらいました。

#5

発達障害の食事指導は大変だと言って避けていられるのか

発達障害児の自閉症スペクトラム障害には、極端な偏食がみられます。

これは感覚過敏による五感の反応が大きな原因になっているもので、味覚、嗅覚、視覚、触覚、聴覚が過敏に反応するために、当たり前と思われる食事の感覚が大きく異なってしまい、食べられないものが多く存在しています。

日本メディカルダイエット支援機構が実施しているダイエット指導の中で、本人が食べたくないと言っているのだから仕方がないと放っておくことができるようなものなら、まだよいとしても、成長期の子どもが身体の成長に必要な栄養素が摂れないようなことになると、「食べられないなら、食べられるようになるまで待とう」などと言っていられるような状況ではなくなります。

身体の成長だけで終わらず、発達障害は脳の成長も重大な問題となります。

脳の発達のバランスが崩れているので、遅れている部分の発達を促進するために必要な栄養素を多く摂ることが必要になります。

標準的な量を摂るだけでよいということではありません。

ましてや、発達障害は、自閉症スペクトラム障害にしろ、注意欠如・多動性障害にしろ、学習障害にしろ、精神的な負荷が強くて、それだけ疲れやすく、そのために脳の働きを保つために多くのエネルギーが必要になります。

だから、必要な栄養素を欠かすことがあってはいけないので、あらゆる食品から、すべての栄養素を摂る必要があります。

脳のエネルギーを多く作り出すためには、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が必要ですが、このブドウ糖を脳細胞のミトコンドリアに取り込むために必要なα‐リポ酸が重要になります。

α‐リポ酸は体内で合成されていて、その合成量のピークは20歳とされているので、一般には18歳未満の発達障害児は不足することはないと考えられがちです。

激しく身体を動かすアスリートは20歳以下であっても、α‐リポ酸は不足しがちです。

いくら身体の中で合成されているといっても、ブドウ糖を多く取り込んでエネルギー化しなければならないほど消費量が多くなり、不足することにもなります。

それと同じことが、発達障害児の場合には起こっているということです。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

発達障害を理解するためのコンテンツ

発達障害者支援法

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