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2020年4月27日月曜日

自閉症の理解のための概要把握4

自閉症の理解のための概要把握4について

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 自閉症の理解のための概要把握4

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発達障害者支援法


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自閉症の理解のための概要把握4

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。

今回は自閉症教育の対象について紹介します。

自閉症教育の対象は、発達障害に包括される障害である自閉症と、それに類するものによって、言語発達の遅れや対人関係の形成が困難であるため、社会的適応が困難である状態の子どもとされています。

昭和40年代の前半に自閉症の存在が注目を浴びるようになり、その対応は教育界の緊急の課題となっていました。

その現実的な要請が情緒障害特殊学級の増加を促しました。

その後、情緒障害特殊学級は、自閉症、選択性緘黙、不登校などの子どもを対象とする学級として定着していきました。

特殊教育に関する研究調査会の「軽度心身障害児に対する学校教育の在り方(報告)」(昭和53年8月12日)において、「自閉、登校拒否、習癖の異常などのため社会的適応性の乏しいもの、いわゆる情緒障害者のための特殊教育を設けて教育するか、又は通常の学級において留意して指導すること」と提言されました。

このような経過により、多くの情緒障害特別支援学級において自閉症などへの対応が行われていた実態を踏まえ、平成21年に、その名称が「自閉症・情緒障害特別支援学級」に改められました。

なお、通級による指導の対象については、平成18年に学習障害と注意欠如・多動性障害が追加された際に、それまで情緒障害として位置づけられていた自閉症を独立して位置づけました。

また、特別支援学級においても、多くの自閉症を伴う知的障害の児童生徒が在籍しています。





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自閉症のある子どもの教育における配慮、自閉症のある子どもの施設の支援体制、自閉症の理解のための概要把握

自閉症のある子どもの教育における配慮、自閉症のある子どもの施設の支援体制、自閉症の理解のための概要把握、について

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 自閉症のある子どもの教育における配慮

#2 自閉症のある子どもの施設の支援体制

#3 自閉症の理解のための概要把握

#4 自閉症の理解のための概要把握2

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 自閉症の理解のための概要把握3

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自閉症のある子どもの教育における配慮

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、どのような場での教育であっても配慮が必要であるとして、教育内容・方法を示しています。

教育内容は、学習上、生活上の困難を改善・克服するための配慮として、自閉症の特性である「適切な対人関係形成の困難さ」「言語発達の遅れや異なった意味理解」「手順や方法に独特のこだわり」などにより、言語内容の習得の困難さを補完する指導(動作などを利用して意味を理解する、繰り返し練習をして道具の使い方を正確に覚えるなど)を行うこととしています。

学習内容の変更・調整は、自閉症の特性によって、数量や言葉などの理解が部分的であったり、偏っていたりする場合の学習内容の変更・調整(理解の程度を考慮した基礎的・基本的な内容の確実な習得、社会適応に必要な技術や態度を身につけることなど)を行うこととしています。

次に教育方法ですが、情報・コミュニケーションと教材の配慮は、自閉症の特性を考慮して、視覚を活用した情報(写真や図面、模型、実物などの活用)を提供します。

また、細かな制作などに苦手さが目立つ場合が多いことから、扱いやすい道具を用意したり、補助具を効果的に利用したりするようにします。

学習機会や体験の確保は、自閉症の特性によって、実際に体験しなければ行動などの意味を理解することが困難であることから、実際的な体験の機会を多くするとともに、言葉による指示だけでは行動できないことが多いことから、学習活動の順序をわかりやすくするように活動予定表などの活用を行うこととしています。

心理面・健康面の配慮は、情緒障害のある子どもの状態(情緒不安や不登校、ひきこもり、自尊感情や自己肯定感の低下など)に応じた指導(カウンセリング的対応や医師の診断を踏まえた対応など)を行います。

また、自閉症の特性によって、二次的な障害として情緒障害と同様の状態がおこりやすいことから、それらの予防に努めることとしています。

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自閉症のある子どもの施設の支援体制

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、支援体制を示しています。

支援体制は、専門性のある指導体制の整備として、自閉症や情緒障害を充分に理解した専門家からの支援や、特別支援学校のセンター的機能、自閉症・情緒障害特別支援学級、医療機関などの専門性を積極的に活用して、自閉症などの特性について理解を深められるようにするとしています。

子ども、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮として、他者からの働きかけを適切に受け止められないことがあることや言葉の理解が充分ではないことがあること、方法や手順に独特なこだわりがあることなどについて、周囲の子どもや教職員、保護者への理解啓発に努めることとしています。

災害時などの支援体制の整備として、自閉症や情緒障害のある子どもは、災害時の環境の変化に適応することが難しく、極度に混乱した心理状態やパニックに陥ることを想定した支援体制を整備することとしています。

施設・設備は、校内環境のバリアフリー化として、自閉症の特性を考慮して、備品などをわかりやすく配置したり、導線や目的の場所が視覚的に理解できるようにしたりすることしています。

発達、障害の状態、特性などに応じた指導ができる施設・設備の配慮として、衝動的な行動による怪我などが見られることから、安全性を確保した校内環境を整備するとしています。

また、興奮が収まらない場合を想定して、クールダウンなどのための場所を確保するとともに、必要に応じて自閉症特有の感覚(明るさやちらつきへの過敏性など)を踏まえた校内環境を整備するとしています。

災害時などへの対応に必要な施設・設備の配慮として、災害などの発生後における環境の変化に対応できないことによる心理状態(パニックなど)を想定して、外部からの刺激を制限できるような避難場所、施設・設備を整備することとしています。

#3

自閉症の理解のための概要把握

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。

自閉症は、
①他人との社会的関係の形成の困難さ、

②言葉の発達の遅れ、

③興味や関心が狭く特定のものこだわることを特徴とする発達の障害である、

としています。

その特徴は3歳くらいまでに現れることが多く、小学生年代まで問題が顕在していることもあります。そして、中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定されています。

高機能自閉症は、知的発達の遅れを伴わない自閉症を指します。

同様に、アスペルガー症候群(アスペルガー障害)は、自閉症の上位概念である広汎性発達障害の一つに分類され、知的発達と言語発達に遅れはなく、3つの自閉症の特性のうちコミュニケーションの障害が比較的目立っていません。

アスペルガー症候群のコミュニケーションの特徴として、一方的に自分の話題中心に話し、直接的な表現が多く、相手の話を聞かなかったり、また相手が誰であっても対等に話をすることがあります。

3つの基本的な障害特性について、
①に関連して現れる行動特徴としては、相手の気持ちや状況を考えず、自分の視点中心に活動しているように見えることがあります。

例えば、自分の好きなことを質問し続けたり、一人遊びに没頭していたりするなどです。

また、関わり方が一方的で、ルールに沿った遊びが難しく、仲間関係を作ったり、相手の気持ちを理解することが難しい状況があります。

②に関連して現れる行動としては、概して言語の理解や使用に発達の遅れが見られ、まったく言葉を発しないこともあります。

また、他者の言葉を模倣していうこと(反響言語)だけのことがある一方で、普通の言葉づかいではない独特の言い方や自分の好きなことだけを一方的に質問し続けることもあります。

③については、次の機会に紹介します。

#4

自閉症の理解のための概要把握2

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。

前回に続いて、特定のこだわりについて紹介します。

特定のこだわりに関連して現れる行動特徴としては、こだわりがあって、同一種類へのこだわりや同じことへのこだわりがあります。

同一種類へのこだわりは、例えば水洗トイレや水道の蛇口やスイッチ類へのこだわりで、気になっていることや気に入っているこだわりです。

無理に止めさせても通常は子どもからの抵抗は少なく、パニックは生じないことが多くなっています。

同じことへのこだわりは、例えば同じ道、同じ場所、同じやり方、同じ物(椅子の種類ではなく、青い色の椅子でないと座れないなど)へのこだわりは、状況理解ができずに生じている不安を、慣れ親しんでいる同じ物で抑えている状況があり、そのために教師などが不用意に介入すると、子どもからの抵抗が強くなり、パニックに至ることも少なくありません。

こだわりの現れ方としては、第一には、ある行動を同一のパターンで繰り返すことで、日常生活のさまざまな場面で見られます。

例えば、ごく単純な動作、仕草、あるいは遊びを飽きることなく繰り返すことがあります。

また、日常生活や遊びなどの活動に手順を定め、その順番を変えないことがあります。

その手順は儀式的で、合理的でないことも多く、その一連の活動が円滑になされないような状態になっても、順番どおりに遂行しないと気が済まないような状態が見られます。

第二は、環境の変化に適応できないことです。

例えば、学校の日課が急に変わると、適切に対応することができず、著しく動揺することも見られ、入学や進級、転居などでも、その変化には想像を超えた苦痛を伴うことがあります。

第三は、特定の事物に興味と関心が集中することです。

例えば、漢字、カレンダー、乗り物など、あるいは描画などが対象となります。

そうした特定の事物への興味・関心が何年も続き、それに関する多量の知識や高い技術を驚くほど身につける場合があります。

知的発達が遅れている場合は、感触や身体運動感覚、嗅覚などを媒介する自己刺激に興味・関心が集中することもあります。

#5

自閉症の理解のための概要把握3

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。

前回に続いて、その他の特徴について紹介します。

自閉症スペクトラム障害では、こだわりの現れ方の3つの基本的な障害特性に加えて、感覚近くの過敏性、刺激の過剰選択性、知能テストの項目に著しいアンバランスが見られることがあります。

感覚知覚の過敏性や鈍感性は、多くの自閉症のある子どもにも見られますが、その現れ方は多様であり、例えば一般に不快であると感じるガラスを爪でひっかいたような音は問題ないが、特定の人の声や教室内の雑音には極端な恐怖を示したりすることがあります。

他人に触られることを嫌う一方で、身体が傷ついても、痛みを感じていないように見えることもあります。

また、銀紙やセロファンなどの光る物、換気扇や扇風機などの回転するものに強い興味を示すこともあります。

このように、感覚知覚の過敏性や鈍感性は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などのさまざまな感覚において見られ、パニックや突然の不安定状態などの原因の多くが、特定の感覚刺激に対する不快反応によって引き起こされている可能性があります。

それらを回避するためには、感覚の過敏性や鈍感性の状態を観察して、実態把握する必要があります。

感覚過敏といわれている状態の背景には、感覚過敏に対する過剰反応があることが多いと推定されています。

騒々しい音が苦手というように、その刺激自体が嫌な場合や、その刺激を受けたときに他の不快な状況があり、その刺激が不快な情動を結びつけられてしまうという条件付けがされている場合、さらにその刺激の意味がわからずに不安となっている場合などがあります。

一方、知的障害を伴う自閉症の場合、関連する行動として、時には手を噛んだり、頭を何かにぶつけたりするといった自傷行為が見られることもあり、また身体を前後に揺すったり、手をひらひらさせたりするなどを繰り返すという常同的な行動があることもあります。

刺激の過剰選択性とは、事物のある一つの要素だけに、常に同様に反応をすることや、ある一つの要素でしか物事を捉えていない状態を指します。

物事の全体像の把握が苦手な自閉症の特徴を示す考え方の一つです。

例えば、あごひげのある人には誰であってもパパと呼んだり、あるいは父親が眼鏡を外してしまうと、父親がどこかへ消えてしまったような反応を示したりすることがあります。

父親という存在からの情報には、男性、親、顔の特徴などさまざまな多次元的な要素が含まれていますが、その一つだけに反応することです。

これらの刺激の過剰選択性に関する現象は、シングルフォーカスという用語で説明されることもあります。

知能テストの項目に著しいアンバランスがあることに関しては、例えば知的発達に遅れがある場合、自閉症を伴わない知的障害のある子どもとは違いが見られ、下位検査間で偏りがあり、言語性の下位検査に比べて動作性の検査の成績がよい傾向があります。

つまり、見本と同じように組みわせる問題などで成績がよい傾向が見られることがあります。

このほかに、自閉症の特性の一つとして、不器用さがあげられ、運動や製作などにおいて配慮をする必要があります。

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発達障害児のための通級指導ガイド、自閉症の子どもに必要な指導内容、自閉症の子どもの教育の場と教育機能、自閉症の子どもの通級による指導

発達障害児のための通級指導ガイド、自閉症の子どもに必要な指導内容、自閉症の子どもの教育の場と教育機能、自閉症の子どもの通級による指導について

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 発達障害児のための通級指導ガイド

#2 自閉症の子どもに必要な指導内容

#3 自閉症の子どもに必要な指導内容2

#4 自閉症の子どもの教育の場と教育機能

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 自閉症の子どもの通級による指導

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発達障害児のための通級指導ガイド

文部科学省は「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成して、これを一般にも広めるためにWEBにも公開しています。

通級による指導は1993年の学校教育法の改正によって小学校と中学校において制度化されたもので、このガイドの中には発達障害についても解説されています。

自閉症については、
「①他人との社会的関係の形成の困難さ、②言葉の発達の遅れ、③興味や関心が狭く特定のものにこだわることを特徴とする発達の障害である。その特徴は、3歳くらいまでに現れることが多いが、小学生年代まで問題が顕在化しないこともある。中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されている」と紹介されています。

自閉症のある子どもの教育的ニーズについてですが、早期からの教育的対応の重要性として、以下のようにまとめられています。

自閉症は、多くの場合は乳幼児期の健康診査(乳幼児健診)などで、周囲の大人や子どもに対する関心のあることや音に対する過敏性、鈍磨性の様子などから指摘されることがあります。

ただし、音に対する反応だけから自閉症であることが疑われることは稀で、乳幼児期に気づかれるのは言葉の遅れや働きかけへの反応の乏しさ、マイペースな行動などが多いとされていることから、このことへの留意が必要となっています。

幼児期になって、幼稚園などの就学前機関で同年代の友達との関わりや小集団での生活が始まると、自閉症の特性から生じる生活上の困難さと、それへの対応の難しさが現れる場合が多くなっています。

自閉症の教育的対応は、当初は困難であることが多いと指摘されています。

それは親密で安定した情緒的な関係を築くことの難しさ、こだわりや興味・関心のある限定による集団生活の難しさ、周囲が受け入れられない行動への対処の難しさが見られるからで、その他にも刺激に対する過敏性や行動上の問題(自傷行為や睡眠障害など)などへの対応が困難であるからです。

成長を促すため、適切に対応する上では困難さを理解することが特に重要であるとしています。

#2

自閉症の子どもに必要な指導内容

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」の中から、発達障害に関する部分について紹介しています。

自閉症の子どもに必要な指導内容として、自閉症・情緒障害特別支援学級では、「人とのかかわりを円滑にして、生活する力を育てることを目的に指導を進めている」として、自閉症への対応を中心に、その教育内容・方法を紹介しています。

自閉症・情緒障害特別支援学級は小学校と中学校に設置していることから、教育課程の編成は原則的には小学校と中学校の学習指導要領に従うこととしています。

しかし、対象とする子どもの実態から、通常の学級における学習が困難であることから、子どもに応じて学校教育法施行規則第138条に基づいて特別の教育課程を編成しています。

この場合は、特別支援学校簿学習指導要領を参考として教育課程を編成することになります。

自閉症などがある子どもは、生活技能が充分に身についていないことが多く見られることから、特別支援学校(知的障害)の各教科などを参考にするなどして、適切な教育課程を編成しています。

また、下学年の内容に替えたり、基礎的・基本的な内容を重視するなどとしています。

日常生活の技能を身につけるための指導としては、これは社会生活の基本であり、自閉症・情緒障害特別支援学級では、食事、排泄、衣服の着脱などの指導が学校生活の中で適切に行われています。

特に1日の学校生活の流れが理解できるようにしたり、日課などをわかりやすくしたりするなどして、子どもの心理的な安定を促して、固執性が目立たないように配慮しながら、生活に必要な諸技能が習慣として身につけるようにすることが大切だとしています。

日常生活の技能は、特に学校と家庭との連携を密にすることによって、より確実に身につけることが必要とされています。

#3

自閉症の子どもに必要な指導内容2

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」の中から、発達障害に関する部分について紹介しています。

自閉症の子どもに必要な指導内容として、自閉症・情緒障害特別支援学級実施する教育内容・方法の第2弾を紹介します。

運動機能、感覚機能を高めるための指導として、動作の模倣、遊具や道具を使った運動などにより、自ら身体を動かそうとする意欲を育て、協応動作など運動機能の調和的発達を図るように指導を行っています。

特に視覚、触覚などを適切に活用することにより、目的のある行動を身につけることを狙いとして、さらに指導方法についても、教材・教具を工夫するなどされています。

言葉の内容を理解するための指導として、人の言葉に注意を向ける、人の話を聞く、返事や挨拶をするなどの必要な態度を形成して、人とのかかわりを深めるための基礎づくりを狙いとして指導が進められています。

また、注意力や集中力を身につけ、言葉を理解するとともに、実際の生活に必要な言葉を適切に使用できるように指導されています。

例えば、模型の電話やマイクを使って話すことなどの場面の設定、創意工夫された絵カードや文字カードなどの教材・教具などが活用されています。

人とのかかわりを深めるための指導として、1日の生活リズムを体得することにより、情緒の安定を図り、友達や教師と一緒に活動する喜びや楽しさを味わい、集団の雰囲気になれることを狙いとした指導が行われています。

例えば、動作の模倣、遊び、劇、係活動など、いろいろな活動を通じて、集団での役割を理解して、相手の立場が理解できるようにすることです。

また、一人ひとりの子どもの学習状況などに応じて、交流と共同学習として、通常の学級での授業(国語、音楽、図画工作、体育など)や特別活動に参加して、人間的な触れ合いを深め、集団参加が円滑にできるよう、きめ細かく配慮されています。

通級による自閉症についての指導には、基本的に特別支援学校などの自立活動を参考とした指導を中心にしながら、社会的適応性の向上を目的として、自閉症・情緒障害特別支援学級と類似した同様の狙いで取り組みがなされています。

#4

自閉症の子どもの教育の場と教育機能

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症の子どもの教育の場と提供可能な教育機能について紹介されています。

自閉症・情緒障害特別支援学級の対象は、初等中等教育局長通知(平成25年)によって、自閉症・情緒障害者は「①自閉症又はそれに類するもので、他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの。②主として心理的な要因による選択制かん黙等があるもので、社会生活への適応が困難である程度のもの」と示されています。

「他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である」とは、一般にその年齢段階に標準的に求められる限度などによる意思の交換が困難であるということです。知的障害を伴う自閉症の特性として、言語がまったくなかったり、言葉の発達の遅れや特異な使用が見られたりします。

また、身振りなどで意思を伝達することが不得手であったり、質問に対して質問分のまま返したりなどの傾向が見られます。

そうした相手からの言葉の意味を理解したり、それに応じた意思を伝達したりすることができないか、または可能であっても他人との会話を開始し、受け答えをしながら継続する能力に明らかな困難性があることをいいます。

「対人関係の形成が困難」とは、他人から名前を呼ばれたことに気がついて振り向く、他人からの働きかけに応じて遊ぶ、自分や他人の役割を理解して協同的に活動する、他人の考えや気持ちを理解して、友達関係や信頼関係を形作ることなどが一般にその年齢段階に求められる程度に至っていない状態のことをいいます。

「社会生活への適応が困難」とは、他人と関わって遊ぶ、自分から他人に働きかける、集団に適応して活動する、友達関係を作って協力して活動する、決まりを守って行動する、他人と関わりながら生活を送ることなどが、一般にその年齢段階に求められる程度に至っていない状態のことをいいます。

#5

自閉症の子どもの通級による指導

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症の子どもの教育の場と提供可能な教育機能について紹介されています。

通級による指導の対象について、初等中等教育局長通知(平成25年)によって、自閉症者は「自閉症又はそれに類するもので、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度のもの」と示されています。

通級による指導の対象の教育的ニーズについては、特別支援学級の対象者とほぼ同様ですが、ほとんどの授業を通常の学級で受けられることから、他人との意思疎通に関わることや対人関係、社会生活への適応などに関することが中心となります。

就学先の決定に関する判断の際には、以下のことに留意することが必要とされています。

自閉症・情緒障害特別支援学級で支援する場合は、自閉症、それに類するもののため、意思疎通や対人関係、行動に問題が認められ、通常の学級では成果をあげることが困難であり、特別な教育内容・方法による指導を必要とする状態に応じています。

通級による指導において教育する場合は、自閉症、それに類する障害のために、通常の学級における授業におおむね参加できるものの、対人関係や行動上の問題の改善のための特別の指導や教科の補充的指導などを一部必要としている状態に応じています。

特別支援学校において教育する場合は、学校教育法施行令における知的障害者の項の程度の障害を併せ有する状態に応じています。ただし、就学前に、適切な療育などを受けていない場合には、基本的には知的発達の遅れがないにもかかわらず、知的障害があるとみなしてしまう場合があるので、的確に実態を分析して、慎重に就学先を決定することが大切です。

なお、知的障害や病弱・身体虚弱を伴う場合は、それぞれの状態に応じて、知的障害特別支援学級、病弱・身体虚弱特別支援学級、特別支援学校(知的障害、病弱)などにおいて教育を受けることを考慮する必要があります。

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新型コロナウイルスの感染拡大と発達障害者の就職、発達障害の理解を深める発達障害啓発週間、発達障害児に対する目の運動能力、発達障害の不安を掻き立てるニセ科学、発達障害児の考える前に行動する特徴

新型コロナウイルスの感染拡大と発達障害者の就職、発達障害の理解を深める発達障害啓発週間、発達障害児に対する目の運動能力、発達障害の不安を掻き立てるニセ科学、発達障害児の考える前に行動する特徴について

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 新型コロナウイルスの感染拡大と発達障害者の就職

#2 発達障害の理解を深める発達障害啓発週間

#3 発達障害児に対する目の運動能力

#4 発達障害の不安を掻き立てるニセ科学

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 発達障害児の考える前に行動する特徴

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新型コロナウイルスの感染拡大と発達障害者の就職

新型コロナウイルスの感染拡大によって正社員として採用されずはずだった人の採用中止が相次ぎ、非正規社員での採用も減り、中にはパートやアルバイトの採用も減らしているような状況です。

これまでの経済状況の中でも発達障害者の働き場は多くはなかったのですが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大は発達障害者と、その家族にとっては厳しい状態になっています。

新型コロナウイルスの感染拡大が終息すれば、また就職事情も回復するだろうという甘い考えをする人もいますが、感染拡大による経済被害が目先の売り上げの減少なら回復をして、就職の状況もよくなることも期待できるのでしょうが、新型コロナウイルスの感染拡大によって社会システムの変革が必要になり、今までの常識が通用しなくなりそうな状況です。

これでは期待はできないという考え方をする人も少なくありません。

これまでは売り上げが少ない、売り上げが減ってきたという状況でも、数を増やして薄利多売で乗り切ることができた業界が数多くあります。

利益幅が少なくても、数さえ増やせば全体収益が上がって、事業を継続することも雇用を保つこともできました。

薄利多売がいけないというのではなくて、薄利多売を続けるなら、これとは異なった収益法、それも薄利多売の手法が通じないような社会状況になったときに、問題なく稼ぎ続けられるようなバランスの取れる収益法を考えるべきです。

発達障害者の就職は、受け入れ先の変革だけでは継続させられるものではなりません。

発達障害者も、これまでと同じ条件で受け入れられてもらえる、これまでと同じような能力を身につければよい、というような考えが通用する状態ではなくなります。

いつ感染拡大によって社会情勢が変わり、経済活動を変えなければならない、そのための人材も余裕を持って入れられないという状況になると、特別な能力が求められるようになります。

発達障害者の支援というと、これまでは凹凸の凹の欠けている部分を埋めることが重視されてきましたが、これからは凸を伸ばしていって、他に負けない人材としないと通用しにくくなるということを考えて改善支援をするべき時代になってきているという認識です。

#2

発達障害の理解を深める発達障害啓発週間

国連は4月2日を世界自閉症啓発デーと定めています。

これは自閉症だけでなく、他の発達障害についても理解を深めて、発達障害者の改善のための支援を進める啓発活動です。

これと連動して、厚生労働省は4月2日から8日を発達障害啓発週間としています。

自治体などでも、さまざまな活動がされていますが、世界の活動に合わせて各地のランドマークでは青色のライトアップが実施されます。

ライトアップというと、乳がんの啓発のピンクリボンでは東京タワーや通天閣、姫路城などがピンク色にライトアップされることは有名で、ピンクリボンをつけた人のウォーキングイベントなども実施されているので知っている人も多いようです。

これに比べると青色のリボンは、さまざまなところで使われているので、発達障害をイメージする人は少ないかもしれません。

ブルーリボンというとブルーリボン賞が有名で、同じ名前で映画、鉄道、船舶で賞が設けられています。

ブルーリボン運動というと言論自由運動や拉致問題、受動喫煙防止などの各運動で使われています。

健康に関わる啓発運動でも慢性疲労症候群の啓発デーのシンボルカラーはブルーで、ブルーリボンが使われています。

世界自閉症啓発デーについては日本実行委員会が設けられていて、専用WEBサイトがあり、国内の活動やイベントの情報が伝えられています。

シンポジウムが4月4日に予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって今年の実施は中止となりました。

東京タワーではライトアップに合わせたイベントが計画されていましたが、やはり新型コロナウイルスの感染拡大によって中止になったものの、ライトアップは実施されます。

これらの会場にはブルーリボンに限らず、青色のものを身につけて来場することが呼びかけられていましたが、イベントが中止となっても、せめて青色のものを目立つようにして外出したいものです。

もちろん、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛が求められている地域では、それに従った範囲での実施にしてほしいのですが。

#3

発達障害児に対する目の運動能力

発達障害児は運動が苦手なことが多いのですが、中でもボールやシャトルなどの飛んでくるものに対する感覚が充分に備わっていないことから、他の運動の能力には問題がなくて、運動能力に優れたところがあっても飛んでくるものには的確に対応できないことから、一定の運動能力では“運痴”(運動の音痴)みたいなことが指摘されることがあります。

この動くものに対する運痴は、脳の機能が発達していないことのように言われることが多いのですが、目の動きがよくないことが影響していることがあげられます。

自分に向かって飛んでくるものに対する反応としては、目を上下左右に動かして、ピント合わせによって前後でキャッチすることによって、実際に動いているモノを捉えて、これからの動きを予測して身体を動かすことによって、キャッチしたり、打ち返したりすることができます。

運動能力ということでは、眼球運動ということが言われます。両眼の眼球運動には、向き運動と寄せ運動があります。

向き運動は両眼で同じ方向を向く共同性に運動です。

左右の眼は離れたところにあり、同じ対象物を見ても角度の違いがあって、左右では違った見え方をしています。

その違いから、その対象物の位置と動きを判断して、それに対する反応をすることができます。

向き運動には衝動性眼球運動(サッカード)と追従眼球運動(パースーツ)があります。

衝動性眼球運動は見ようとする物に素早く視線を向けて、網膜の中心窩(網膜の黄斑部の中心)に投影するための眼球運動です。

追従眼球運動は空間を移動する対象を物に視線が追随して動いて、ゆっくりと対象物を注視し続ける眼球運動です。

これに対して寄せ運動は両眼が反対方向に動く非共同性の運動で、いわゆる寄り目と開散(寄り目の反対に左右の目玉が外を向く)があります。

この眼球運動がスムーズにいかないために、対象物を目で捉えることができずに、首を動かして、対象物を捉えるようになります。

こういった状態だと、素早く対象物を捉えることができにくくなって、飛んでくるものをキャッチしにくくなるのです。

#4

発達障害の不安を掻き立てるニセ科学

科学的な説明をさせると信じやすいということは以前からあったことです。

科学的な説明をしたほうが商品が売れやすい、サービスが受け入れやすいということで、商品販売、サービス提供の手法として、もっともらしい説明をしていることが目立っています。

これはニセ科学と呼ばれていますが、その一つとしてあげられるのが「好転反応」です。

好転反応というのは、身体によいものを摂ると、改善する前に一時的に悪い状態になることを指しています。

身体の中に蓄積されている有害物質を排出するものを摂った場合には、一時的に排出量が増えるために、皮膚からも排出されて、皮膚が赤くなる、かゆみが出るといった症状が現れることがある、といった説明をされています。

だから、ある成分を摂取したことによって反応が起こったら、これは身体にとってよい反応なので、成分の摂取を続けるべきだと主張しているわけです。

普通の感覚なら、何かの成分を摂って普段とは異なる反応が出たとすると、これは副作用ではないか、アレルギーではないか、と考えるのは当たり前の反応のはずです。

ところが、よくなる前の悪い反応という説明を受け入れてしまいがちです。

というのは、好転反応は以前からあった言葉で、思った以上に浸透しています。

東洋医学では好転反応は教科書にも載っていることで、漢方薬では当たり前のように起こっていることだからです。

発達障害の改善については好転反応が起こるかということですが、改善する前に一時的であっても悪い状態になるということはあってはならないことです。

自閉症スペクトラム障害で外部との交流が苦手な人を無理に交流させたとすると、当然の反応として状態が悪くなることもあります。

本来ならやるべきではないことをやって、よくない状態になっても、これが改善される前兆だと思い込んで続けてしまったら、どんどん悪くなる方向に進むことが考えられます。

しかし、好転反応のようなことを主張する人は少なくなくて、しかも治療やコンサルタントを仕事としている人にもいます。

こういった不安を感じたときに相談することができる、身近な存在であり、しかも科学的に的確に返答してくれる存在は重要であると考えています。

#5

発達障害児の考える前に行動する特徴

新型コロナウイルスの感染拡大から、繁華街の外出を避けるように大人がいくら言っても、若者は言うことを聞かず、東京の渋谷や原宿に多くの若者が出歩いていました。

不要不急の外出を避けることは必要だと言われても、密閉空間、密着場所、密接場面の3つの密でなければ感染リスクが低いということが報道されると、外だから感染しないと考えるのもわからないではない気がします。

繁華街を歩くだけで、店にも入らないから安全だという感覚のようですが、繁華街に来るまでの移動手段が3つの密に該当する混雑した電車であれば、繁華街に行くのは安全ではないということになります。

しかし、そのことを考えることもなく、家の中にいるのはつまらないから、友達を遊びたいからという気持ちが優先されて、詳しいことを考えることなく行動に移しています。

この状態についてテレビ番組のコメンテーターが「発達障害ではないか」という発言をしていました。

考える前に行動を起こすのは、発達障害障害の注意欠如・多動性障害に特徴的にみられることです。

じっとしていられないという特性は、今回の深く考えることなくリスクが高いところに行くという若者の行動と共通しているようにも感じます。

リスクの高いところに、リスクの高い移動法で来たことを他から指摘されて、初めて気づいたという声もありました。

不要不急の外出は自粛するように言われていることはわかっていても、本人にしてみると不要不急だという感覚を持っています。

感染防止のために一斉休校となった小学校、中学校、高等学校、特別養護学校は4月から一斉開校されるとの話があったとき、それまでの期間しか友達と遊ぶ機会がないからというのは、当事者にとっては不要不急ではなくて“必要火急”の用件となっています。

発達障害児のような行動を多くの若者が我慢できずにやってしまうことを見ると、考える前に行動をするのは発達障害児だけの特性ではないようにも思われます。

発達障害児を考えた対応を、子どもに対してもやらなければならない状況になっているのかもしれません。

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高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない、発達障害児はタイプに合わせて対応する、発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか、発達障害の人には的確な指示が欠かせない、ゲーム依存は発達障害を引き起こすのか

高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない、発達障害児はタイプに合わせて対応する、発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか、発達障害の人には的確な指示が欠かせない、ゲーム依存は発達障害を引き起こすのかについて

#1
 高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない

#2 発達障害児はタイプに合わせて対応する

#3 発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか

#4 発達障害の人には的確な指示が欠かせない

#5
 ゲーム依存は発達障害を引き起こすのか

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#1

高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない

高齢者の危険運転や問題運転は、認知機能の低下のせいとされています。

そのために、75歳を過ぎたら運転免許の更新には認知機能検査が義務づけられています。

記憶力と判断力の検査で、安全に運転をするためには必要であることは認めても、それだけを確認することで安全な運転をすることが保証されるのかというと、完全に同意することは難しいかもしれません。

認知機能については、認知症のほかに、その予備群とされる軽度認知障害があります。

どちらも記憶力と判断力を確認する内容といっても、主には記憶力のほうであって、注意力や一瞬の判断をして、その次の行動に起こせるかは認知機能だけではわかりません。

つまり、飛び出しがあったらブレーキを踏む、飛び出す可能性がある通行者や自転車などを見たときにスピードを落とす、いつでもブレーキをかけられるように準備するという実際の交通事故を予防するために運転技術につながるかというと、そこは保証することはできません。

認知機能が正常であっても、年齢を重ねてきたときに、急に運転が危険になる、乱暴な運転をするようになるということがあります。

その原因を探っていて、実は発達障害であることがわかった、高齢者になるまでの長い期間に気づくことがなかったということがあります。

発達障害には自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害などがありますが、この中で問題運転と関係してくるのは注意欠如・多動性障害です。

注意力が散漫になるだけでなく、衝動性が抑えられなくなって、急に乱暴な運転をするということも起こります。

割り込みは無理かもしれないというときに、割り込みを諦めるのではなくてアクセルを踏み込む、青信号の点滅から黄信号になっているのに交差点に入る、しかも時間がかかる右折をするといったことです。

発達障害というと子どもに起こるものというのは間違いで大人になってから起こることについては知られてきましたが、高齢者になって脳の機能が低下してきて、脳のブレーキがかかりにくくなってくると急に発達障害の特性が起こるということにもなります。

これまで高齢者の発達障害は考えられることはなく、そもそも高齢者が子どもだった時代に発達障害という言葉はなくて、当然のように治療も改善のための支援も行われていなかったのです。

#2

発達障害児はタイプに合わせて対応する

タイプ分けをして、それに従ったマニュアルで対応することは、個性を活かす育児や教育では避けるべきだという考えもあります。

しかし、相手を見極めて、相手の行動に合わせて器用に反応するということが苦手な発達障害の子どもたちと付き合うときには、タイプ分けも有効になります。

発達障害児に伝わりにくいときには、伝わるようにする工夫が必要で、言葉で説明したほうがわかるようならキーワードを用いて理解できるように積み重ねていくことが大切になり、絵や図などのビジュアルで説明したほうがわかるようなら、できるだけ図解します。

言葉のほうがわかるということであれば、その言葉の選び方さえ間違わなければよいのですが、方言とまではいかなくても、その地域特有の言葉づかいをすると理解しにくいことがあるので、共通語を使うことがすすめられます。

絵や図は多用すればよいということではなくて、数が多くなると混乱させることもあります。

まずは全体像を理解させる図解を示して、それから細部を説明するといったような工夫も必要となります。

この方法は一般的な話で、順序立てて考えて理解するタイプの場合にはスタートとラストを決めて、その間を埋めて順番に説明していくようにします。

全体像を把握するタイプ、というか全体像がわからないと理解できないタイプに対しては、言葉で伝える場合であっても絵や図で伝えるタイプであっても、できるだけ簡単な図解をして、その流れを示しながら説明することが大事です。

記憶力がよいようなら、順を追って説明するだけでもわかってもらえるのですが、記憶力がよくないようなら、前に言った大切なキーワードを忘れていることもあるので、大事なことは繰り返し伝えるようにします。

理解したことを行動に移すときも、行動や動作が早いのか、それとも遅いのかによって、やるべきことが違ってきます。

行動が遅い場合には、手順が覚えにくいということもあるので、動線に合わせて使うものを配置するといったことが必要です。

そういった工夫をしないで、手順が違うことを叱ったり、急かしたりするようなことはしてはいけないということです。

#3

発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか

掛け布団は軽いほうが快適な睡眠を得られると一般には伝えられていますが、むしろ重い掛け布団のほうが熟睡できるという情報が広まっています。

睡眠の質がよくなるだけでなくて、発達障害の改善にも役立つということも伝えられていて、「そんなことで改善するから」ということで発達障害者にも、その家族にも注目されています。

有効性について考察する前に、なぜ発達障害の改善に役立つと言われるようになったのかということから見ていくと、掛け布団の重さの有効性の研究を始めたのが自閉症のアメリカの動物学者で、感覚過敏の中でも触覚過敏であったことから、重い掛け布団の研究に取り組んだということです。

重い掛け布団によって強い圧迫感を受けると身体的には苦しい感じがあっても、幸せホルモンのセロトニンが多く分泌されて、睡眠を促すホルモンのメラトニンが多く作られることになります。

そのために、不安やストレスが原因となっている不眠症の改善につながるだけでなく、発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害にも改善効果が得られたということです。

睡眠障害があると自律神経の調整が乱れるという考えと、その逆に自律神経の調整が乱れるために睡眠障害が起こるという考えがあり、その両方が相互に影響しているという考えもあるのですが、どれが正解であったとしても自律神経の乱れは脳の機能に影響を与えるので、発達障害に関係していることは当然のように考えられることです。

セロトニンの分泌は掛け布団の重さによる圧迫の強さの影響を受けていて、アメリカの研究では重い掛け布団によってセロトニンの分泌量が28%も増加したという研究成果があります。

重い掛け布団の圧迫はストレスを高めそうですが、ストレスホルモンのコルチゾールは31%も低下する結果となっていました。

睡眠の質がよくなるということは、自律神経で興奮作用がある交感神経の働きが抑えられて、抑制効果がある副交感神経の働きが盛んになっている状態です。

圧迫を受けることによるリラックス効果ということではツボ療法が思い浮かべられるところですが、実際に、どの程度の重さが効果的なのか、どの程度の発達障害への好結果が得られるのかについて、今後の研究が待たれるところです。

#4

発達障害の人には的確な指示が欠かせない

発達障害の人には、雰囲気を察してやってもらいたい、ということは通じにくいところがあります。

単に空気が読めないというような状況ではなくて、指示をしたことを了解しているはずなのに、思ったこととまったく違うことをすることにもなります。

これが発達障害児ならわからないでもなくても、社会人となった発達障害者でも思わぬことをすることがあります。

身近なところでは、お風呂場で「お湯を見ていて」と言って期待していることは、浴槽にお湯がたまってきたら、お湯を止めることです。

ところが、見ていてと言われると、ずっと見ている、お湯が浴槽からあふれても見続けるだけという、昔のコントのようなことがあるのが発達障害の特徴の一つです。

わざとではなくて、本気でやっている結果です。

そんなことがないように、自動で湯量が調整できる給湯システムに変えるということを考える前に、「お湯が、この線までたまったら、このレバーをひねって、お湯が出るのを止めて」と指示をすることです。

マニュアルは味気ないとは言われるものの、発達障害の人にはマニュアルのような指示は絶対に必要になることもあるのです。

台所でも「鍋を見ていて」という指示だけだと、ずっと鍋を見続けることになるので、そうでないことを期待するなら、「お湯が沸騰してきたら、コンロを止めて」ではなくて、「コンロのレバーを右に回してガスの火を止めて」と指示します。

どうやって火を止めるのかを言ってあげないと、止め方がわからないからと、そのまま見続けることにもなりかねません。

窓を拭くことを指示する場合も、どのような手順で、どこまで拭くかを伝えるだけでなくて、どこまでやったら完成なので終わってよいという、止め時を言っておかないと、いつまでも窓を拭き続けてしまいます。

終わったら、終わったことを誰に伝えるのか言っておかないと、次のアクションをしないで、終わったところで動きを止めて、次の指示を待ち続けることにもなります。

#5

ゲーム依存は発達障害を引き起こすのか

子どものゲーム依存症を減らすために、平日は60分以内、休日は90分以内、午後10時以降はゲーム禁止ということを打ち出したのは香川県のネット・ゲーム依存症対策条例です。

条例案が発表されたときからネットでは賛否の意見が寄せられて、香川県民だけでなく、興味を抱く人たちから発達障害との関わりの声も出ていました。

その中で気になるのは、ゲーム依存になると発達障害になるという意見です。

発達障害は生まれつきの脳の発達のズレで、そのために自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害などの特徴が表れます。

原因は明確ではないものの、少なくともゲーム依存は含まれていません。

発達障害児がゲーム依存になることはあっても、ゲーム依存によって発達障害になることはないということです。

もともと発達障害であったのが、発見されないまま育ち、ゲーム依存が疑われて検査をしたところ発達障害が発見されたということが考えられます。

WHO(世界保健機関)というと、新型コロナウイルス感染で注目度が高まりましたが、国連の専門機関であるWHOはゲーム依存症を疾患の一つとして認定しています。

今回のネット・ゲーム依存症対策条例はWHOの認定を受けて考えられたもので、精神疾患の防止という意味では効果が期待されるものです。

発達障害の自閉症スペクトラム障害は、ひきこもりになりやすく、実際にひきこもりの大人を調査したところ30%は発達障害であったことが内閣府の調査で明らかになっています。

子どものひきこもりというとゲームやネットに熱中しているイメージがあって、ゲーム依存と呼ばれるほど長時間やっていると発達障害になってしまうというイメージにつながっているようです。

発達障害とゲーム依存はイコールではないものの、発達であったとしても軽度だった人が、ゲーム依存によって強く特徴が現れるようになり、発達障害で苦しむことになるということは充分に考えられることです。

その点ではゲームをする時間に制限を加えることは有効だということができます。

しかし、発達障害のことを考えると、1日に60分以内であれば問題がないということについては、まだまだ検討する必要があります。

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発達障害者が安心できるマニュアルどおりの接客、発達障害児は気候の変化に過敏に反応する、発達障害の腸と脳の関係、発達障害と勘違いされるギフティッド、発達障害児の療育手帳を取得したがらない親の考え

発達障害者が安心できるマニュアルどおりの接客、発達障害児は気候の変化に過敏に反応する、発達障害の腸と脳の関係、発達障害と勘違いされるギフティッド、発達障害児の療育手帳を取得したがらない親の考えについて

#1
 発達障害者が安心できるマニュアルどおりの接客

#2 発達障害児は気候の変化に過敏に反応する

#3 発達障害の腸と脳の関係

#4 発達障害と勘違いされるギフティッド

#5
 発達障害児の療育手帳を取得したがらない親の考え

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#1

発達障害者が安心できるマニュアルどおりの接客

マニュアルどおりの接客は顧客には、あまり好まれるものではなく、来店を本当の感謝している、全力でサービスをしているようには感じられないという人も少なくありません。

しかし、迎える側にするとマニュアルがないと上手に接客できないという人もいて、あえて紋切り型の接客トークをよしとしているところもあります。

飲食店は、今や正社員は少なくて、パートやアルバイトの力なしには運営できない状態で、しかも長くは勤めないという傾向もあります。

新たに入ってきた人でも、すぐに他のスタッフと同じように接客できることを重視して、紋切り型の接客マニュアルを使い続けているところもあります。

これには賛否があるものの、接客に慣れていない人はもちろんのこと、他人と触れ合うことを苦手とする人であっても対応が可能なマニュアルは大切な存在となっています。

他人との触れ合いが苦手で、社会的コミュニケーションがうまくいかない発達障害の人にとっては、特にマニュアルはありがたい存在です。

接客では、書かれたとおりのことをすればよいというわけではないものの、マニュアルは最低限の接客ができるように書かれているので、店に迎え入れて、注文を受けて、料理を提供して、片付けて、会計をして、送り出すという一連の流れをこなすことができます。

こんな接客マニュアルでは味気ない、せっかくの美味しい料理も、本当の美味しさが伝わらないという声があるものの、コミュニケーションが苦手な発達障害の人にとっては、味気ない接客マニュアルはありがたい存在です。

というのは、ただマニュアルに従うだけでよいということではなくて、紋切り型のマニュアルでの対応であっても、すんなりと受け入れて、特に文句を言うわけではなく利用してくれる客は、変則的な対応を求めるようなことが少なくて、安心して接客ができるということを言っています。

紋切り型の接客をすすめているわけではなくて、発達障害者が同年代の10%もいるという状態では、発達障害者でも対応できるマニュアルを導入することによって働ける場所を増やすことを考えるべきだということを伝えたいのです。

#2

発達障害児は気候の変化に過敏に反応する

生気象学という研究分野があります。気象が人間に与える影響について研究する学問で、中でも健康分野の研究が進められています。

その生気象学で最新のテーマの一つとして注目されているのは、発達障害児の気象への反応で、気象の変化が発達障害児の特性に影響を与えて、健康にも影響しやすいことが知られています。

気象の健康面への影響は個人差があって、これまでは体質的な違いによるものと捉えられがちでしたが、発達障害児の場合には気象の変化の影響を受けやすく、特に微妙な対応が必要となっています。

発達障害児は低気圧や湿度が高い環境が苦手です。

気圧は気体の圧力のことで、気圧が高い状態では大気が身体に与える圧力が高まります。

高気圧では血管が圧迫されて、血管が収縮して血圧が上昇しやすくなります。

そのために頭痛が起こりやすくなる人がいて、気圧の変化が血流を変化させて体調に影響を与えることになります。

気圧の変化に敏感に反応するのは、発達障害が影響していることもあるということです。

湿度も体調に大きな影響を与えます。熱中症は気温の上昇ばかりが注目されがちですが、温度と湿度の関係が重要で、温度が低めであっても湿度が高いと血流に大きな影響が出ます。

だから、湿度が高い日には温度が高すぎるほどでなくても、汗が蒸発しにくくなり、体内に残る熱が多くなり、熱中症を起こすようになります。

その影響が発達障害児は起こりやすくて、湿度が高くなると一般の人が気温の上昇に対して起こる反応よりも、低めの気温で起こってしまいます。

身体は実際の気温に反応するだけでなくて、前日の気温も影響します。

例えば気温が26℃であっても前日が20℃だった場合には、その差の半分の3℃分をプラスして29℃の気温であるように身体が反応するといいます。

これにも個人差があるのですが、発達障害児は反応が起こしやすくなっているのです。

それだけに湿度が高めのときには、特に熱中症への対応が必要になってくるということです。

#3

発達障害の腸と脳の関係

脳と腸の機能研究が進むにつれて、「脳腸相関」が語られるようになってきました。

脳と腸の関係性については、ストレスが強まると下痢や便秘になりやすいことから、以前から指摘されてきました。

腸の働きは自律神経の交感神経と副交感神経の働きに影響されていて、ストレスが強まって交感神経の働きが盛んになると、胃の消化が低下して、腸の吸収も蠕動運動も低下します。

そのために便秘になりやすくなるわけですが、便秘になると腸内に有害物質がたまりやすく、これを排出するために下痢が起こるという困った状態が起こります。

腸内環境とうつ病、自閉症に関する研究も進められていて、国立精神・神経医療研究センターの研究チームが、うつ病患者と健常者の腸内細菌を比較したところ、うつ病患者は善玉菌の代表であるビフィズス菌が少なく、乳酸菌も少なくなっていたと発表しています。

脳と腸のどちらが影響しているかということですが、うつ病では末梢神経や中枢神経の慢性的な炎症がビフィズス菌を減らすことを研究チームは指摘しています。これは脳が腸に影響を与えているという考えです。

発達障害の自閉症スペクトラム障害と腸内細菌の関係については世界的に研究が進められていて、アメリカのアリゾナ州立大学の研究チームは、自閉症スペクトラム障害の児童は腸内細菌の多様性が低くて、腸内環境が乱れやすいと報告しています。

腸の状態が悪いほど自閉症スペクトラム障害の状態が悪くなるとしていて、自閉症スペクトラム障害の児童に健康な人の腸内細菌を移植したところ、2年間はかかったものの、自閉症スペクトラム障害の状態が改善したと発表しています。

試験前には83%が重度の状態だったものが、2年後には重度は17%にも減って、ビフィズス菌のほかに、腸壁を守る酪酸を作り出すプレボテラ菌が大きく増加したといいます。

腸内細菌移植は日本では一般に受けることはできないので、腸内環境を整えるためのビフィズス菌の摂取、善玉菌を増やす糖質や食物繊維の摂取を心がけるというところから始めるべきだということになります。

アメリカでは食物繊維の摂取が多いとうつ病のリスクが低くなり、台湾では子どもに乳酸菌を毎日摂取させたことによって発達障害の注意欠如・多動性障害の改善がみられたと報告されています。

#4

発達障害と勘違いされるギフティッド

発達障害が広く知られるようになってきてからというもの、自分の子どもの発達障害を心配して早めに受診させる親も増えています。

そのことによって早期発見、早期支援が進むことが期待されているものの、専門医の認識不足のために発達障害と誤診される子どもが少なくないという指摘がされるようになっています。

発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害は、他の勘違いされやすいこと、誤診されやすいことをスクリーニングで排除して、それでも当てはまるという状態でないと診断すべきではないのです。

その勘違いされやすいことの一つとして注目されているのがギフティッドです。

ギフティッド(Gifted)は先天的に平均よりも高度な知的能力を持っている人のことで、アメリカでは「同世代の子どもと比較して、並外れた成果を出せるほど突出した才能を持つ子ども」と教育省が1993年に定義しています。

ギフティッドはIQ(知能指数)が高く、特定の学術分野(数学、言語、芸術、音楽など)で高いレベルの潜在能力を持っています。

アメリカでは子ども全体の6%ほどとされています。

アメリカにはギフティッドの能力を最大限に引き出すためのプログラムが設けられていて、潜在能力を開花させるカリキュラムも開発されています。

それに対して、日本はプログラムどころか、ギフティッドの定義もなく、当然のように診断もされず、発達障害とされてしまうことも少なくないという実態があります。

ギフティッドは自閉症スペクトラム障害と注意欠如・多動性障害の両方と勘違いされることがあるものの、実態がわかれば自閉症スペクトラム障害との混同はなくなり、注意欠如・多動性障害との混同を注意すればよいことがわかります。

注意欠如・多動性障害は集中力がない、持続性がない、終わっていないのに次のことに移る、衝動的、他の人の前で自分の行動をコントロールできない、他の子どもに比べてエネルギーが溢れている、たくさん話す、会話やゲームに割り込む、ルールを守るのが苦手、勉強に必要なものをなくす、細かなところが見えていない、批判や評判に敏感といった特徴があります。

これに対して、ギフティッドは集中力がない、つまらないときには空想している、自分に関係のないことは続けられない、多くのことをしても少ししか終わらせることができない、感情的なところがあってパワーを持っている人(教師や親など)とやり合う、エネルギーに溢れている、睡眠時間が長くなくても平気、自分が話す順番でなくても話をする、ルールや慣習・伝統に対して質問をする、ものをなくす、宿題を忘れる、整理整頓が苦手、注意散漫に見える、批判や評判に敏感といった特徴があります。

これだけを見ても、注意欠如・多動性障害と勘違いされることが多いことがわかります。

#5

発達障害児の療育手帳を取得したがらない親の考え

発達障害児は、状態によって療育手帳を取得することができます。

療育手帳が取得できると、状態に応じた福祉サービスが受けられ、それが発達障害児の改善のための支援につながることがわかっていても、取得しないことを選択する親も少なくありません。

療育手帳を取得することは自分の子どもが障害であることを認めることになるから、ということを大きな理由としてあげる専門家がいます。

療育手帳は発達障害であることだけでは取得することはできません。

他に障害がある子どもに交付されるもので、自治体の保健福祉センターなどを通じて児童相談所で、発達指数、知能指数が75以下であるのかを確認する検査を受けることが必須条件とされています。

発達指数は子どもの発達の基準を数値化したものです。発達指数と知能指数の点数によって障害がランク化されていて、支援の内容が決まります。

療育手帳の取得によって受けられる福祉サービスは国による制度に基づくものと、自治体の制度に基づくものとがあります。

国によるものは特別児童扶養手当で、精神障害、知的障害、身体障害がある満20歳未満の児童を養育している保護者に支給されます。

重度障害者の場合については、障害児福祉手当と特別障害者手当が設けられています。税金面でも障害者控除、特別障害者控除の制度もあります。

自治体の制度では、重度障害者の在宅支援手当、先天性障害児の養育者手当などがあります。

同じ国の基準であっても、自治体によって検査結果が異なっていて、「あの市は福祉サービスが充実していて、療育手帳が交付されやすい」ということが広がって、発達障害児の親が移住するという例も珍しくありません。

療育手帳が取得できないと、普通の子どもと同じように扱われるということが当たり前に起こっているからです。

幼児教育・保育の無償化がスタートして、幼稚園、保育所、認定こども園は、所得制限はあるものの無料で利用できるようになりました。

障害児が利用する施設も無償化しましたが、発達障害児の場合には発達障害だけでなく、療育手帳の取得が条件となっています。

ここまでの福祉サービスがあるのに、これを利用したがらないのは親が悪いと言うのではなくて、発達障害であることを隠さなければならない社会的障害のほうを解決することを考えるべきだということを伝えさせてもらっています。

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発達障害の二次障害には男女で特徴がある、自閉症スペクトラム障害の遺伝的リスクと神経発達の関連、発達性協調運動障害は発達障害なのか、発達障害のトゥレット障害が理解されていない、発達障害の吃音障害が理解されていない

発達障害の二次障害には男女で特徴がある、自閉症スペクトラム障害の遺伝的リスクと神経発達の関連、発達性協調運動障害は発達障害なのか、発達障害のトゥレット障害が理解されていない、発達障害の吃音障害が理解されていないについて

#1
 発達障害の二次障害には男女で特徴がある

#2 自閉症スペクトラム障害の遺伝的リスクと神経発達の関連

#3 発達性協調運動障害は発達障害なのか

#4 発達障害のトゥレット障害が理解されていない

#5
 発達障害の吃音障害が理解されていない

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#1

発達障害の二次障害には男女で特徴がある

発達障害の人は、相当の苦しみを感じて暮らしていますが、それに追い討ちをかけるように起こるのが二次障害です。

二次障害としては、うつ、不安症、摂食障害、パーソナリティ障害などがあげられています。

これは男女ともに同じことですが、女性は子どものときに発達障害であることに気づかれずに、二次障害が起こったことをきっかけとして、発達障害であることが判明したという例も少なくありません。

発達障害の自閉症スペクトラム障害は、周囲とのコミュニケーションを取るのが苦手で、周囲とのズレを感じて自信が持てない、生きづらいと感じることが多くなっています。

また、こだわりが強いのも特徴のひとつです。

これは男女ともにみられることですが、女性の場合には、こだわりの方向が食事に向かうことから、その種類やエネルギー量(カロリー)だけでなく、体重や体型といったところまで進むとダイエットに極端なこだわりが生じることがあります。

そのために摂食障害が起こることにもなります。

自閉症スペクトラム障害では感覚過敏が起こり、これが原因となって食べられない食品や料理が増えていきます。

ただでも栄養素が不足しているところに、摂食障害で食べる量が減ってしまうと、やせすぎて体調管理ができなくなってしまうこともあります。

パーソナリティ障害は人格障害とも呼ばれ、一般社会の中で期待される規範とは異なる思考、知覚、反応、対人関係のパターンが若いときからみられることを指しています。

子どものころには“おっちょこちょい”などと軽い気持ちで見守っていられることも、注意力が低下している状態が大人になっても続くとなると笑って済まされることではなくなります。

特に女性は気を使った付き合いが求められることが多く、“気が利かない”“空気が読めない”というマイナスに取られてしまうことにもなります。

発達障害の女性は、うまくいかなかった失敗体験が次々と重なって、自信が持てなくなるだけでなく、これが二次障害へとつながりやすいということです。

#2

自閉症スペクトラム障害の遺伝的リスクと神経発達の関連

浜松医科大学子どものこころの発達研究センターは、遺伝子解析によって自閉症スペクトラム障害と関連する遺伝子の変化がある子どもは1歳6か月の時点で特定の領域の神経発達に遅れがみられることを発表しています。

自閉症スペクトラム障害の発現には、さまざまな環境因子と遺伝子の変化が関連していることが明らかになってきています。

この遺伝子の変化には非常に稀なものと頻度の高いものの2種類があって、大部分の自閉症スペクトラム障害では頻度の高い遺伝子の変化があり、それも複数が組み合わさって発症に関わっていると考えられています。

そこまではわかっていても、頻度の高い遺伝子の変化が幼少期の神経発達に与える影響について、これまで明らかではありませんでした。

876人の参加者に約650万か所の遺伝子の変化が調べられ、自閉症スペクトラム障害に関連する遺伝子の変化の数と効果の大きさを考慮して、ポリジェニックリスクスコアを呼ばれる遺伝子リスクが算出されました。

1歳6か月の時点での神経発達については、粗大運動、微細運動、受容言語、表出言語、視覚受容の5つの領域の発達が評価されました。

その結果、自閉症スペクトラム障害の発症リスクを高める遺伝子の変化を多く持っていると、自閉症スペクトラム障害の特性が強くなることが確認されました。

ポリジェニックリスクスコアを用いて自閉症スペクトラム障害傾向との関連を解析したところ、ポリジェニックリスクスコアが高いと自閉症スペクトラム障害の傾向が強くなり、特に社会的コミュニケーションの苦手さが強くなることがわかりました。

その一方で、自閉症スペクトラム障害の特徴であるこだわりの強さについては、関連は見られたものの、社会的コミュニケーションに比べると弱い関連となっていました。

自閉症スペクトラム障害と遺伝子の関連は明らかになってきたといっても、全員が遺伝子を調べられるわけではなく、自閉症スペクトラム障害で特に問題とされる社会的コミュニケーションの苦手さについても大きな差があります。

となると、社会的コミュニケーションについての対策を、より積極的に進めなければならないということになります。

#3

発達性協調運動障害は発達障害なのか

発達障害は一般には自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害があげられることが多くて、この3種類だけが発達障害と勘違いされることがあるのですが、三大発達障害の他にもトゥレット障害、吃音障害、そして発達性協調運動障害があります。

発達性協調運動障害は三大発達障害ではないものの、発達障害の一つであるということです。

発達性協調運動障害(DCD:Developmental Coordination Disorder)は粗大運動(歩く、走る、跳ぶなど)や微細運動(字を書く、ハサミを使う、紐を結ぶなど)、強調運動(スキップする、楽器を演奏する、縄跳びをするなど)の発達が、その人の知能から期待される水準よりも遅れているか稚拙であり、そのために日常生活に著しく支障をきらす場合に診断されます。

ただし、脳性まひなどの神経疾患や筋疾患は発達性協調運動障害から除外されています。

発達性協調運動障害の発現率ですが、5?11歳の子どもの場合は5?10%とされています。

男子は女子よりも発現率が高くて、男女比は2:1という報告から7:1という報告まであって、実際のところはわかっていないのですが、男子は発達性協調運動障害のために苦しんでいることが多いということは間違いないことです。

発達性協調運動障害の子どもは、乳児期には寝返りやハイハイ、お座りが遅いことから気にかけられることがあり、少し成長してからは階段を上る、自転車に乗る、シャツのボタンをかけるということがうまくできないということが現れます。

できたとしても、同年代と比べて動きがぎごちなく、時間がかかることがあります。さらに成長してからは字を書く、パズルの組み立て、チームでの球技などがスムーズにできず、不正確になるということもみられるようになります。

それが日常生活に支障を生じさせていないなら、まだ障害というほどのことではなくても、服を着るのに手間取る、こぼさずに食事をすることができない、身体に適した遊びができない、ハサミや定規などの道具がうまく使えないということになると、発達性協調運動障害と判定されることになります。

このような状態になっていると、人並みはずれた不器用、極端に運動が苦手な子と言われて、その原因として過保護な育児や運動不足があげられて、親を悩ませ、苦しませることがあります。

しかし、これは親のせいではなくて、発達性協調運動障害である場合があるのです。

発達障害の改善に実施される運動療法は、発達性協調運動障害の改善にもつながることが明らかにされています。

#4

発達障害のトゥレット障害が理解されていない

発達障害の一つにトゥレット障害があります。

これはチックという神経精神疾患のうち、音声や行動の症状が慢性的に続くもの(突発性、急速、反復性、非律動的、常同的な運動や発声)を指しています。

発症は18歳未満で、4週間以上持続するものをいいますが、半数は18歳までに消失するといいます。

発現率としては1000人あたり3~8人ですが、男子は女子よりも発現しやすく、2~4倍にもなっています。

原因はわかっていないものの、家族内で多く見られることがあることから、遺伝的因子が関与していると考えられています。

チックは軽いものは5人に1人の小児にみられるものの、軽度のために医師でも見逃すことがあります。

チックのある子どもには注意欠如・多動性障害のほか、強迫性障害、不安障害、うつ病、学習障害などがみられることがあります。

これらとチックが同時にあると、ますますトゥレット障害が強く現れることにもなりかねません。

チックは運動チックと音声チックがあります。

運動チックは目的のない同じような不随意運動(まばたきをする、顔をしかめる、急に頭を振るなど)が素早く不規則に繰り返されるもので、音声チックは意図しない音や言葉が突然繰り返されるものです。

この両方がみられたときにトゥレット障害と診断されます。

チックは突然、劇的に始まることがあり、1時間に何回も起こることがあれば、数か月ほとんど現れないことがあり、再び突然起こるというような発現があります。

チックは単純性チックと複雑性チックに分けられます。

単純性チックは極めて短いチックで、神経質な癖として現れることがあります。

複雑性チックは単純性チックが複数組み合わされたもので、長く続く特徴があります。

複雑性チックの中には、卑猥な言葉や便に関連した言葉を叫ぶ汚言がみられることがあります。

特徴的な行動だけに、トゥレット障害というと汚言を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、トゥレット障害の約85%には汚言はみられていません。

汚言を口にしたり、他の人の動きや言葉を繰り返すという複雑性チックは、わざとやっているように見えることもあるのですが、トゥレット障害の人は意図的にやっているわけではありません。

チックが起こる前には、その行動をしたくなる強い衝動が生じています。

この衝動は、くしゃみをしたり、かゆいところを掻きたくなる無意識の行動に似ています。

チックが起こる体の部分では緊張が高まり、チックを起こしたあとには一時的に落ち着くようになります。

チックは数秒から数分なら我慢ができても、意識的な努力が必要で、簡単なことではありません。

我慢をしても衝動は抑えられるものではなく、精神的なストレスがあるときには特に抑えにくくなります。

ストレスはチックを悪化させるので、無理に抑えるようなことはしてはいけないということです。

#5

発達障害の吃音障害が理解されていない

発達障害の吃音障害が理解されていない

吃音というのは、一般に「どもる」といわれる話し方に関する発話障害を指しています。

年齢や言語能力に比べて、なめらかに話すことが困難な状態で、複数の特徴的な症状のうち一つ以上があるもの場合に診断されます。

その症状は、以下の3種類です。

1 連発・反復(単音や単語の一部を繰り返す)
 例:「き、き、き、きのう」

2 伸発・引き伸ばし(単語の一部を長く伸ばす)
 例:「きーーのうね」

3 難発・ブロック(単語の出始めで詰まる)
 例:「……っきのう」

吃音障害の症状は幼児期に発現するのがほとんどですが、思春期から目立ってくる場合もあります。

幼児期から吃音障害が出た場合の過半数は、学童期や、それ以降の成人するまでに症状が消失したり軽くなることがありますが、中には成人後にも持続する場合があります。

吃音障害は、発達性吃音と獲得性吃音に分類されていますが、9割ほどは発達性吃音となっています。

発達性吃音としては、次のような特徴があります。

・幼児が2語文以上の複雑な発話を開始する時期に起きやすい

・幼児期(2?5歳)に発症する場合がほとんど(小学生以降の発症もある)

・発症率は5%程度

・発症率に国や言語による差はないと言われる

・有病率は約1%

・男女比は4:1と男性に多いが、幼児期は男女差がない

・発症は体質的要因(子ども自身が持つ吃音になりやすい何らかの特徴)、発達的要因(身体、認知、言語、情緒が爆発的に発達する時期の影響)、環境因子(周囲の人との関係や生活上の出来事)が互いに影響して起こる

症状が続いたり、言葉の出にくさが強くなってくると話すことに嫌悪や恐怖が起こって、さらに言葉が出にくくなりがちです。

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理事長 小林正人様

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発達障害の注意欠如・多動性障害は脳も多動している、自閉症スペクトラム障害に脳の特定領域の活動不全、発達障害と勘違いされる口腔機能発達不全症、女性の発達障害は本当に少ないのか、発達障害の注意欠如・多動性障害は男女で特徴が

発達障害の注意欠如・多動性障害は脳も多動している、自閉症スペクトラム障害に脳の特定領域の活動不全、発達障害と勘違いされる口腔機能発達不全症、女性の発達障害は本当に少ないのか、発達障害の注意欠如・多動性障害は男女で特徴がについて

#1
 発達障害の注意欠如・多動性障害は脳も多動している

#2 自閉症スペクトラム障害に脳の特定領域の活動不全

#3 発達障害と勘違いされる口腔機能発達不全症

#4 女性の発達障害は本当に少ないのか

#5
 発達障害の注意欠如・多動性障害は男女で特徴が

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#1

発達障害の注意欠如・多動性障害は脳も多動している

発達障害の注意欠如・多動性障害は、じっとしていられない性質で、頭では動いてはいけないとわかっていても、それとは関係なく身体が動いてしまう状態だと理解されがちです。

しかし、脳の働き自体も多動的で、優れた才能を発揮する人には脳の多動性が能力につながっています。

身体を激しく動かしていても頭が疲れない、どんどんとアイデアが出てくる、他人を驚かせるような発想が出てくるといったことが起こっています。

発想の宝庫ではあるものの、それを整理することができないほど発想が次々と湧き上がってくるので、それに対応できないということも起こっています。

脳の働きを抑えようとしても、働き続けてしまっていると、落ち着いて考えることができなくなって、脳が多動状態になって身体も多動になってしまうということです。

脳は複数のことをこなすことができます。

この能力があるので、目で見て、耳で聞いて判断したことから身体を動かすということができます。

自動車を運転できるのも、ブレーキをかけて安全を確保できるのも複数のことがこなせる能力が普通にあるからです。

ところが、脳が多動性になっていると余裕がなくなって、複数のことがこなせなくなり、一つのことしかできないということになります。

注意欠如・多動性障害では、我慢することと行動の結果を出すことが同時にできないということが特徴的に起こります。

椅子に座って、じっと話を聞くことと、話の内容を理解して結果を出すということが合致しないと、最後まで話を聞いていなくても、結果が一致していればよいという判断にもなり、話の意味がわかったところで、次の行動に移るということにもなります。

そこまで複雑なことでなくても、姿勢を正して座っているということと、話を聞くという行動が合致していないと、話を聞くことのほうが重要であるので、別にきちんと座っている必要がない、みんなが同じ行動をすることはない、という判断にもつながっていきます。

何を優先させるべきなのかがわかり、優先してできることが重要であるという社会にならないと、こういった能力はマイナスになってしまいます。

これをプラスに変えるために社会体制を変えることは難しいことから、一般的な規制に縛られない仕事ができる環境を作ること、一人でもできる仕事を考えるということも考えていくべきだということではないでしょうか。

#2

自閉症スペクトラム障害に脳の特定領域の活動不全

発達障害の自閉症スペクトラム障害は、原因や治療法は確立されていないため、高い知能を有する人でも社会生活に困難をきたしやすく、せっかくの能力が発揮されないという現状があります。

東京大学大学院のグループは、対人コミュニケーションの障害に特徴的な認知パターンを実証したと発表しています。

自閉症スペクトラム障害の当事者は、他者が自分に対して友好的か敵対的かを判断する際に、顔や声の表情よりも言葉の内容を重視する傾向があることと、その際に内側前頭前野と呼ばれる脳の場所の活動が有意に弱いことを初めて示しました。

この内側前頭前野の活動が減弱しているほど臨床的に観察されたコミュニケーションの障害が重いことを示しました。

自閉症スペクトラム障害の当事者は、他者の意図を直感的に汲み取ることが苦手なため、冗談や皮肉のような顔や声の表情と言葉の内容の食い違う表情に接した場合に、この障害が顕著になることが知られていました。

しかし、この経験的によく知られた現象を実証した研究は少なく、この障害に、どのような脳の仕組みが関与しているのかは明らかではありませんでした。

自閉症スペクトラム障害と診断された15名の成年男性と、比較対象として自閉症スペクトラム障害当事者と知的能力や生育した経済的環境に差がなく、精神障害のない17名の成年男性が参加しました。

参加者には短いビデオを見てもらい、俳優が参加者に言葉の内容と言葉を発する際の顔や声の表情から、その俳優が参加者にとって友好的に感じられるか敵対的に感じられるかを判断してもらいました。

参加者の脳活動の変化はMRIで測定されました。

対照群では非言語情報を重視して他者判断する機会が多いことがわかり、その際に内側前頭前野などの他者の意図や感情の理解、曖昧なものの判断に関わることが知られていた脳の場所が強く活動していました。

それに対して自閉症スペクトラム障害の当事者の群では非言語情報を重視して代謝判断する機会が減っていました。

また、不安や恐怖といった驚異的な刺激に対して反応する扁桃体の活動は増強されるものの、対照群で強く活動していた内側前頭前野などの活動が減弱していることがわかりました。

#3

発達障害と勘違いされる口腔機能発達不全症

うまく食べられない、話がスムーズでないという子どもがいると発達障害を心配する家族もいますが、実際には口腔機能発達不全症であったという例もみられます。

口腔機能発達不全症は15歳未満の子どもを対象として、2018年に新たな病気として医療保険が認められるようになったものです。

口腔は歯や舌、口蓋という口の上側を指していて、食べる、息をするということのほかに、言葉を話すときにも使われる器官です。

生まれたときには話せなかった子どもが成長につれて話をすることができるようになり、しっかりと噛んで飲み込むという摂食嚥下ができるのも、口腔の機能が発達している結果です。

口腔機能の発達が充分でないと、自由に食べられない、話し方が不自然、鼻呼吸ができずに口呼吸になる、子どもなのに大人と同じようなイビキをかくといった親を心配させるような症状がみられます。

何が原因であるのかについての研究が進められていて、摂食嚥下の異常は、離乳期に発育に応じた硬さや形状の食べ物を食べてこなかった、永久歯が生えるまでの時期に噛まずに飲み込む習慣がついた、幼児期にいろいろな硬さや大きさのものを食べてこなかった、ということが原因とされています。

口呼吸は、姿勢が悪くて背中が丸くなった状態で下あごが引かれて、口が開きやすくなっていることも原因として考えられています。

ゲームやスマホが猫背を増やしているとされているので、これも大きな要因となっています。

口腔機能の評価項目は17種類ありますが、そのうち食べることに関するのは8項目あり、そのうち噛み合わせ、噛む時間の短さなど6項目があります。

話すことではサ行が話しにくいということがあげられています。

いわゆる滑舌が悪い人が苦手な「さしすせそ」が聞き取りにくくなっています。

食べることと話すことで2項目以上、そのうち噛むことで1項目でも該当すれば評価されます。

発達障害の食事に関する特性は親のせいではないと考えられていますが、口腔機能発達不全症は子どものときからの食事が大きく関係しているだけに、親の責任が問われても仕方がないということにもなります。

#4

女性の発達障害は本当に少ないのか

発達障害は男女差が大きくて、全体的には男子は女性の2.4倍だとされています。

これは文部科学省の調査による結果ですが、自閉症スペクトラム障害に限ると男子は女子の4倍にもなっているといいます。

その理由について、母親の妊娠期間中の女性ホルモンの分泌が男児の脳に与える影響が考えられており、それについては以前に紹介したことがあります。

今回の話は、それとは違って、本当に女性の発達障害は多いのか、多いとしても、そこまで大きな差なのか、という疑問についての考えを紹介します。

女子は、子どもだといっても女性は女性で、特に周囲から「女の子らしく」と言われ、そうなるように誘導されていると、大人ほどではないものの女性特有の行動をしがちです。

そのために子どものときには発達障害であることが気づかれず、大人になってから発見されることもあります。

それは本人も気がついていないということだけではなくて、本人は周囲と違うことに違和感があり、生きにくさを感じていても、それを親にも周囲にも言えないまま苦しんでいた、ということもあるのです。

自閉症スペクトラム障害は対人コミュニケーションが苦手ですが、男子の場合には集団行動ができず、一人きりで過ごすことが多いので、周囲からもわかりやすい特徴となっています。

それに対して女子の場合にはもともと集団で動くことが平気なところがあり、他人とも適応しやすいこともあって、自閉症スペクトラム障害がわからないまま成長することも少なくありません。

女の子らしい遊びは集団で行うことが多いことも関係しています。

対人コミュニケーションが苦手とは思えないように見えても、それは気づかれないだけのことで、本人は辛い思いをしていることがあるのですが、それだけではありません。

女子でも男子と変わらないような集団行動が苦手、一人遊びをしたいということもあっても、そのことは女子の場合には目立ってしまうので、排除されやすいということがあります。

また、自分の気持ちを抑えて付き合いをすることは、男子以上に心理的に不安を感じやすくなっています。

自閉症スペクトラム障害では、普通の女の子として振る舞うことは辛くて、それを周囲に期待されることは、もっと辛いということを知ってほしいのです。

#5

発達障害の注意欠如・多動性障害は男女で特徴が

注意欠如・多動性障害は自閉症スペクトラム障害に比べると判断しやすいとされていますが、女子の場合には気がつかれないことが少なくありません。

注意欠如・多動性障害は、不注意、多動性、衝動性に大きく分けられていて、男子の場合には多動性と衝動性が多く、行動に特徴があるために目立ちやすくなっています。

それに対して女子の場合には多動性と衝動性が少なく、不注意が目立っています。

多動性と衝動性は落ち着きがない行動で、男子と女子を普通に比べても女子のほうが落ち着いていると見られています。

不注意のほうは、外に影響することでもなくて、外から見てわかりやすいことでもないことから、学校だけでなく家族も見逃してしまいがちです。

不注意の特性のために、周囲の反応に気づかずに自分勝手な行動をしたり、おしゃべりが終わらない、という女の子の特徴と感じられることが少し強めに出ているだけと見られがちです。

周囲のことに気を使わずに、自由な行動をする、ボーッとしていることがあり、怠けているとか、さぼっていると見られることがあります。

普通の女の子と違っていて、周囲と違った雰囲気があり、言動がズレている、変わった行動をするということで「少し抜けている」「天然」と評されることもあります。

これが個性ということであればよいのですが、注意欠如・多動性障害の不注意であった場合には、周囲から気づかれないまま過ごして、大人になって診断されるまでは周囲との関わりがうまくいかずに、不安障害や心身症につながることにもなりかねません。

子どものときには可愛い行動と思われたとしても、大人になったら女の子らしい行為から、女性らしい行為、女性らしい気遣いが求められるようになり、可愛らしい「抜けている」というポジティブだったことが「気が利かない」とネガティブにも取られてしまいます。

女性が求められる役割の一つに家事がありますが、細かな気遣いの積み重ね、繰り返しで成り立っているのが家事で、不注意の特性がある人は細かな作業が苦手ということもあって、「女性は家事ができて当たり前」という周囲の考えは大きなプレッシャーになっているのです。

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発達障害の五感以外の食事の障害、シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある、発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは、自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由、発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくい

発達障害の五感以外の食事の障害、シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある、発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは、自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由、発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくいについて

#1
 発達障害の五感以外の食事の障害

#2 シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある

#3 発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは

#4 自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由

#5
 発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくい

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#1

発達障害の五感以外の食事の障害

発達障害の自閉症スペクトラム障害にみられる感覚過敏について、五感に関係するものについて紹介してきましたが、五感とは関係がないところで食べられないものがある発達障害児も少なくありません。

牛乳が飲めないという子どもについては何回か紹介してきましたが、牛が嫌いだから牛乳が飲めない、友達が以前に牛乳を飲んで吐いたことがあるので飲めなくなった、というのはまだ理解ができないことはありません。

ビンの牛乳やコップに入った牛乳なら飲めるのに、牛乳パックにストローを挿して飲むことができないという子どももいます。

これについて原因を聞き集めたところ、牛乳パックを持ったときにストローから牛乳が出て、指が汚れて気持ちが悪かったのが始まりだったという子どもが案外に多くて、驚いたことがあります。

指先のヌルヌルした感触が嫌いで、また経験するのが嫌で牛乳パックでだけは飲めないとなると、通常の食事指導の範囲を超えています。

温度も食事には重要で、温かなご飯は食べられても、冷めたご飯が食べられないという子どももいます。

これは単に温度が違うからということではなくて、米のでんぷんの性質も関係しています。

米は炊飯や蒸煮などによって加水加熱するとアミロースの結合が崩れて、でんぷんが糊化します。

この状態をα(アルファ)化といいます。

α化した米のでんぷんは熱が冷めていくとβ(ベータ)化して老化した状態になります。

粘性が失われて、消化が悪い状態になります。

粘度が高いコシヒカリ系の米はβ化するとおいしくなくなりますが、粘度が低いササニシキ系の米はβ化してもおいしさが残るという特徴があります。

米を変えることで、冷めたご飯は食べられないということがなくなり、その成功体験が冷めた料理でも食べられるようになる、ということもあります。

家で飲食している米と銘柄が違うと食べられないという子どももいますが、これも炊飯米の性質が関係しているようです。

餅はα化したしたあとにβ化しにくいのですが、ネバネバのために喉に詰まりやすくなっています。

餅は飲み込み能力が高い若い世代が喉に詰まることは少ないものの、喉に詰まることがあると思っただけで食べられない子どももいます。

このほかに、使い慣れた食器でないと食べられない、加工食品しか食べられない、不衛生な台所で作ったものは食べられないということもあります。

さらに、母親が強制したことが嫌いになった食べ物がある、苦手な食品を知らない間に入れられたから家で食べたくない、ということまであって、食事の困難さを克服するのは大変です。

#2

シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある

発達障害者は年齢を重ねていくと、軽度認知障害と勘違いされるような症状がみられることがあります。

軽度認知障害の特徴を知って、正しく判断するようにしてほしいものです。

認知症患者は462万人(2012年統計)、その予備群である軽度認知障害患者は400万人と推定されています。

これを合わせた862万人は65歳以上の4人に1人の割合となっています。

認知症と軽度認知障害の患者は高齢化が進む我が国においては増え続ける一方で、2025年には認知症患者は700万人、軽度認知障害は600万人を超えると推定されています。

2025年の65歳以上の推定人口は3657万人であり、認知症患者と軽度認知障害患者を合わせた1300万人は高齢者の2.8人に1人にもなります。

軽度認知障害(MCI:Mind Cognitive mpairment)は厚生労働省研究班によって認知症の前段階として位置づけられ、従来の認知症の診断基準に示された項目を満たすようになった段階では、もはや早期とはいえないと指摘されています。

軽度認知障害と認知症は特定の疾患ではなく認知機能低下症状におけるステージや状態を示すもので、潜在的な疾病、疾患や身体状態が引き金になるとされています。

軽度認知障害のリスクとしては、加齢にプラスして脳卒中(隠れ脳梗塞を含む)、心疾患(心筋梗塞など)、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧、メタボリックシンドローム、肥満、喫煙歴、アルコール・薬物の影響、不健康な食生活、心身エクササイズの欠如、ストレスや不安、うつ病などがあげられています。

軽度認知障害と診断されても、的確な治療薬は存在していません。

認知症の治療薬は複数あって、研究が急速に進んでいることに比べると、ほとんど有効な治療薬がないのと同じ状態で、軽度認知障害と診断されても、食事での改善としてバランスの取れた栄養補給、運動での改善として適度な運動習慣、そして充分な休養としての休息と睡眠の確保が指示されるのがほとんどです。

こうした指導によって軽度認知障害からの改善がみられる人は約30%で、約20%が軽度認知障害のままで維持され、1年で10?15%が認知症になり、5年で約50%が認知症に進行しています。

このような状態を改善するためには、要因の一つとなっている生活習慣病の改善が重要となりますが、さらに生活習慣病対策の栄養と運動、認知機能の向上につながる運動や生活改善も、有効な治療薬がない段階では積極的に取り組むべきこととなっています。

#3

発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは

発達障害と勘違いされることの一つに、発達性協調運動障害があります。

発達性協調運動障害は「脳性まひや神経や筋肉の病気など、何らかの診断名がついていないにも関わらず、日常生活に支障が出るほどの不器用さがある状態」を指しています。

わかりにくい表現をされていますが、簡単に説明すると、極端な不器用な状態で、靴の紐が結べない、平らなところでも転んでしまうということが起こります。

子どもに多くて、発達性協調運動障害がある子どもは、6~10%ほどだと言われます。

自閉症スペクトラム障害と似たようなところがありますが、発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害を合わせて10%ほどとされているので、かなりの割合だといえます。

また、どちらも10%ほどだとしたら、発達障害と発達性協調運動障害の両方を抱えている子どもも多いことになり、発達障害児の支援を考えるときには、発達性協調運動障害についても知っておく必要があるということです。

発達性協調運動障害の子どもは、体の各部分や筋肉を強調して働かせる活動(協調活動)が苦手だという特徴があります。

転びやすいうえに、転んだときには腕、頭などを上手に動かして危険がないようにしなければならないところですが、どう体を動かしてよいのかわからず、いわゆる受け身が取れずに、顔から床に突っ込んでしまうことにもなりかねません。

発達性協調運動障害は粗大運動の不器用さと手先の不器用さに大きく分けられます。

粗大運動の不器用さのほうは、大きな動き、ダイナミックな動きがスムーズに行えないもので、ジャンプができない、縄跳びが跳べないといったことから、うまく走れないという子どももいます。

そこまでいかなくてもラジオ体操の動きがぎごちないことから気づくこともあります。

手先の不器用さは、一般にみられる不器用で、靴の紐が結べないということに加えて、ハサミが上手に使えない、字が上手に書けない、折り紙が折れない、というのが、よくみられることです。

#4

自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由

発達障害の自閉症スペクトラム障害の人は、道具を使った運動や作業が苦手であるのは、道具を身体の一部のように感じられない可能性があることを、国立障害者リハビリテーション研究所と静岡大学の研究グループが研究成果をまとめて、世界発表しました。

研究グループによると、コミュニケーションに困難を抱える自閉症スペクトラム障害の人には球技や書道、工作などが苦手な傾向が見られ、周囲の理解を得られずに孤立することがあり、一人ひとりの障害特性に応じた支援や訓練につなげることを目的に研究が始められました。

手にした道具の上で起きる錯覚現象について自閉症スペクトラム障害の人と、発達障害がない人と、それぞれ13人で比較されました。

その方法ですが、長さが約10cmの細いアルミニウム製の棒を左手と右手の人差し指の上に置いて、目の見えない状態で最初に左手の指の上を0.8秒間隔で連続2回、0.1秒後に右手の指の上を1回叩いて、どのように感じるかが調べられました。

多くの場合は、脳が棒を体の一部として捉えて、ウサギが跳ねるように2回目は棒の真ん中、3回目は右手の少し左側という、叩かれていない場所に刺激を感じる皮膚ウサギ錯覚が生じます。

発達障害がない人は13人ともに錯覚を認識したのに対して、自閉症スペクトラム障害の人のうち5人は2回目の棒上の刺激をほとんど感じませんでした。

この5人全員が球技などの運動が苦手だったといいます。

自閉症スペクトラム障害の子どもは運動が苦手なことが多く、運動をすることによって運動機能が鍛えられるとして、発達支援として運動指導が行われます。

従来の方法がうまくいかないという子どもも当たり前のように存在していますが、今回の研究成果を踏まえて、運動療法の方法を検討することも必要かもしれません。

#5

発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくい

発達障害の注意欠如・多動性障害は年齢や発達に不相応に不注意、落ち着きのなさ、衝動性などの問題が生活や学業に影響をしていて、その状態が6か月以上継続していることと定義されています。

注意欠如・多動性障害は、不注意と多動性・衝動性の特徴のうち、それぞれの特性が6つ以上、当てはまるものと診断されます。

不注意では、
①学業・仕事などで綿密に注意できずに不注意な間違いをする、

②課題・遊びの活動中に注意を持続できない、

③直接話しかけられたときに聞いていないように見える、

④指示に従えずに学業・用事・職場での義務をやり遂げられない、

⑤課題や活動を順序立てられない、

⑥精神的能力の持続を要する課題、

⑦必要なものをしばしばなくしてしまう、

⑧すぐに気が散ってしまう、

⑨忘れっぽい、

がチェックされる項目です。


多動性・衝動性では、

①しばしば手足をそわそわ動かしたりトントン叩いたり、

②椅子の上でもじもじする、

③席についていることが求められる場面で席を離れる、不適切な状況で走り回ったり高いところに登ったりする、

④静かに遊んだり余暇活動につくことができない、

⑤じっとしていられない、

⑥しゃべりすぎる、

⑦質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう、他の人の言葉の続きを言ってしまう、会話で自分の番を待てない、

⑧順番を待つことができない、

⑨他人を妨害、邪魔する、
となっています。

このような注意欠如・多動性障害の特性は、なかなか理解されずに、本人の努力が足りない、親が努力させていない、育て方が間違っている、しつけがなっていないなどと言われたり、怠け者という誤ったレッテルが貼られてしまうことがあります。

あくまで注意欠如・多動性障害は発達障害の一つで、生まれながらの脳の発達のズレがあり、そのために脳の機能に特性が生じているからであって、本人のせいでも親のせいでもないことは理解してもらう必要があります。

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理事長 小林正人様

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