2020年4月27日月曜日

高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない、発達障害児はタイプに合わせて対応する、発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか、発達障害の人には的確な指示が欠かせない、ゲーム依存は発達障害を引き起こすのか

高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない、発達障害児はタイプに合わせて対応する、発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか、発達障害の人には的確な指示が欠かせない、ゲーム依存は発達障害を引き起こすのかについて

#1
 高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない

#2 発達障害児はタイプに合わせて対応する

#3 発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか

#4 発達障害の人には的確な指示が欠かせない

#5
 ゲーム依存は発達障害を引き起こすのか

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

高齢者の問題運転は発達障害のせいかもしれない

高齢者の危険運転や問題運転は、認知機能の低下のせいとされています。

そのために、75歳を過ぎたら運転免許の更新には認知機能検査が義務づけられています。

記憶力と判断力の検査で、安全に運転をするためには必要であることは認めても、それだけを確認することで安全な運転をすることが保証されるのかというと、完全に同意することは難しいかもしれません。

認知機能については、認知症のほかに、その予備群とされる軽度認知障害があります。

どちらも記憶力と判断力を確認する内容といっても、主には記憶力のほうであって、注意力や一瞬の判断をして、その次の行動に起こせるかは認知機能だけではわかりません。

つまり、飛び出しがあったらブレーキを踏む、飛び出す可能性がある通行者や自転車などを見たときにスピードを落とす、いつでもブレーキをかけられるように準備するという実際の交通事故を予防するために運転技術につながるかというと、そこは保証することはできません。

認知機能が正常であっても、年齢を重ねてきたときに、急に運転が危険になる、乱暴な運転をするようになるということがあります。

その原因を探っていて、実は発達障害であることがわかった、高齢者になるまでの長い期間に気づくことがなかったということがあります。

発達障害には自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害などがありますが、この中で問題運転と関係してくるのは注意欠如・多動性障害です。

注意力が散漫になるだけでなく、衝動性が抑えられなくなって、急に乱暴な運転をするということも起こります。

割り込みは無理かもしれないというときに、割り込みを諦めるのではなくてアクセルを踏み込む、青信号の点滅から黄信号になっているのに交差点に入る、しかも時間がかかる右折をするといったことです。

発達障害というと子どもに起こるものというのは間違いで大人になってから起こることについては知られてきましたが、高齢者になって脳の機能が低下してきて、脳のブレーキがかかりにくくなってくると急に発達障害の特性が起こるということにもなります。

これまで高齢者の発達障害は考えられることはなく、そもそも高齢者が子どもだった時代に発達障害という言葉はなくて、当然のように治療も改善のための支援も行われていなかったのです。

#2

発達障害児はタイプに合わせて対応する

タイプ分けをして、それに従ったマニュアルで対応することは、個性を活かす育児や教育では避けるべきだという考えもあります。

しかし、相手を見極めて、相手の行動に合わせて器用に反応するということが苦手な発達障害の子どもたちと付き合うときには、タイプ分けも有効になります。

発達障害児に伝わりにくいときには、伝わるようにする工夫が必要で、言葉で説明したほうがわかるようならキーワードを用いて理解できるように積み重ねていくことが大切になり、絵や図などのビジュアルで説明したほうがわかるようなら、できるだけ図解します。

言葉のほうがわかるということであれば、その言葉の選び方さえ間違わなければよいのですが、方言とまではいかなくても、その地域特有の言葉づかいをすると理解しにくいことがあるので、共通語を使うことがすすめられます。

絵や図は多用すればよいということではなくて、数が多くなると混乱させることもあります。

まずは全体像を理解させる図解を示して、それから細部を説明するといったような工夫も必要となります。

この方法は一般的な話で、順序立てて考えて理解するタイプの場合にはスタートとラストを決めて、その間を埋めて順番に説明していくようにします。

全体像を把握するタイプ、というか全体像がわからないと理解できないタイプに対しては、言葉で伝える場合であっても絵や図で伝えるタイプであっても、できるだけ簡単な図解をして、その流れを示しながら説明することが大事です。

記憶力がよいようなら、順を追って説明するだけでもわかってもらえるのですが、記憶力がよくないようなら、前に言った大切なキーワードを忘れていることもあるので、大事なことは繰り返し伝えるようにします。

理解したことを行動に移すときも、行動や動作が早いのか、それとも遅いのかによって、やるべきことが違ってきます。

行動が遅い場合には、手順が覚えにくいということもあるので、動線に合わせて使うものを配置するといったことが必要です。

そういった工夫をしないで、手順が違うことを叱ったり、急かしたりするようなことはしてはいけないということです。

#3

発達障害の改善に重い掛け布団は効果があるのか

掛け布団は軽いほうが快適な睡眠を得られると一般には伝えられていますが、むしろ重い掛け布団のほうが熟睡できるという情報が広まっています。

睡眠の質がよくなるだけでなくて、発達障害の改善にも役立つということも伝えられていて、「そんなことで改善するから」ということで発達障害者にも、その家族にも注目されています。

有効性について考察する前に、なぜ発達障害の改善に役立つと言われるようになったのかということから見ていくと、掛け布団の重さの有効性の研究を始めたのが自閉症のアメリカの動物学者で、感覚過敏の中でも触覚過敏であったことから、重い掛け布団の研究に取り組んだということです。

重い掛け布団によって強い圧迫感を受けると身体的には苦しい感じがあっても、幸せホルモンのセロトニンが多く分泌されて、睡眠を促すホルモンのメラトニンが多く作られることになります。

そのために、不安やストレスが原因となっている不眠症の改善につながるだけでなく、発達障害の自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害にも改善効果が得られたということです。

睡眠障害があると自律神経の調整が乱れるという考えと、その逆に自律神経の調整が乱れるために睡眠障害が起こるという考えがあり、その両方が相互に影響しているという考えもあるのですが、どれが正解であったとしても自律神経の乱れは脳の機能に影響を与えるので、発達障害に関係していることは当然のように考えられることです。

セロトニンの分泌は掛け布団の重さによる圧迫の強さの影響を受けていて、アメリカの研究では重い掛け布団によってセロトニンの分泌量が28%も増加したという研究成果があります。

重い掛け布団の圧迫はストレスを高めそうですが、ストレスホルモンのコルチゾールは31%も低下する結果となっていました。

睡眠の質がよくなるということは、自律神経で興奮作用がある交感神経の働きが抑えられて、抑制効果がある副交感神経の働きが盛んになっている状態です。

圧迫を受けることによるリラックス効果ということではツボ療法が思い浮かべられるところですが、実際に、どの程度の重さが効果的なのか、どの程度の発達障害への好結果が得られるのかについて、今後の研究が待たれるところです。

#4

発達障害の人には的確な指示が欠かせない

発達障害の人には、雰囲気を察してやってもらいたい、ということは通じにくいところがあります。

単に空気が読めないというような状況ではなくて、指示をしたことを了解しているはずなのに、思ったこととまったく違うことをすることにもなります。

これが発達障害児ならわからないでもなくても、社会人となった発達障害者でも思わぬことをすることがあります。

身近なところでは、お風呂場で「お湯を見ていて」と言って期待していることは、浴槽にお湯がたまってきたら、お湯を止めることです。

ところが、見ていてと言われると、ずっと見ている、お湯が浴槽からあふれても見続けるだけという、昔のコントのようなことがあるのが発達障害の特徴の一つです。

わざとではなくて、本気でやっている結果です。

そんなことがないように、自動で湯量が調整できる給湯システムに変えるということを考える前に、「お湯が、この線までたまったら、このレバーをひねって、お湯が出るのを止めて」と指示をすることです。

マニュアルは味気ないとは言われるものの、発達障害の人にはマニュアルのような指示は絶対に必要になることもあるのです。

台所でも「鍋を見ていて」という指示だけだと、ずっと鍋を見続けることになるので、そうでないことを期待するなら、「お湯が沸騰してきたら、コンロを止めて」ではなくて、「コンロのレバーを右に回してガスの火を止めて」と指示します。

どうやって火を止めるのかを言ってあげないと、止め方がわからないからと、そのまま見続けることにもなりかねません。

窓を拭くことを指示する場合も、どのような手順で、どこまで拭くかを伝えるだけでなくて、どこまでやったら完成なので終わってよいという、止め時を言っておかないと、いつまでも窓を拭き続けてしまいます。

終わったら、終わったことを誰に伝えるのか言っておかないと、次のアクションをしないで、終わったところで動きを止めて、次の指示を待ち続けることにもなります。

#5

ゲーム依存は発達障害を引き起こすのか

子どものゲーム依存症を減らすために、平日は60分以内、休日は90分以内、午後10時以降はゲーム禁止ということを打ち出したのは香川県のネット・ゲーム依存症対策条例です。

条例案が発表されたときからネットでは賛否の意見が寄せられて、香川県民だけでなく、興味を抱く人たちから発達障害との関わりの声も出ていました。

その中で気になるのは、ゲーム依存になると発達障害になるという意見です。

発達障害は生まれつきの脳の発達のズレで、そのために自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害などの特徴が表れます。

原因は明確ではないものの、少なくともゲーム依存は含まれていません。

発達障害児がゲーム依存になることはあっても、ゲーム依存によって発達障害になることはないということです。

もともと発達障害であったのが、発見されないまま育ち、ゲーム依存が疑われて検査をしたところ発達障害が発見されたということが考えられます。

WHO(世界保健機関)というと、新型コロナウイルス感染で注目度が高まりましたが、国連の専門機関であるWHOはゲーム依存症を疾患の一つとして認定しています。

今回のネット・ゲーム依存症対策条例はWHOの認定を受けて考えられたもので、精神疾患の防止という意味では効果が期待されるものです。

発達障害の自閉症スペクトラム障害は、ひきこもりになりやすく、実際にひきこもりの大人を調査したところ30%は発達障害であったことが内閣府の調査で明らかになっています。

子どものひきこもりというとゲームやネットに熱中しているイメージがあって、ゲーム依存と呼ばれるほど長時間やっていると発達障害になってしまうというイメージにつながっているようです。

発達障害とゲーム依存はイコールではないものの、発達であったとしても軽度だった人が、ゲーム依存によって強く特徴が現れるようになり、発達障害で苦しむことになるということは充分に考えられることです。

その点ではゲームをする時間に制限を加えることは有効だということができます。

しかし、発達障害のことを考えると、1日に60分以内であれば問題がないということについては、まだまだ検討する必要があります。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

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