2020年4月25日土曜日

障害は「障がい」と表記すべきなのか、発達障害の感覚過敏は自律神経の調整を乱すのか、発達障害者は社会的障害に向き合うチャレンジャー、発達障害と勘違いされがちなHSC

障害は「障がい」と表記すべきなのか、発達障害の感覚過敏は自律神経の調整を乱すのか、発達障害者は社会的障害に向き合うチャレンジャー、発達障害と勘違いされがちなHSCについて

#1
 障害は「障がい」と表記すべきなのか

#2 発達障害の感覚過敏は自律神経の調整を乱すのか

#3 発達障害者は社会的障害に向き合うチャレンジャー

#4 発達障害と勘違いされがちなHSC

#5
 発達障害と勘違いされがちなHSC その2

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

障害は「障がい」と表記すべきなのか

発達障害児の支援に取り組んでいる日本メディカルダイエット支援機構は「発達障害は障害ではない」と常々主張しています。

これに対して「障がい」と書いたほうがよいのでは、と言われることがあります。

“害”という文字は危害、公害、害虫にも使われて、悪い結果や影響を及ぼす物事というイメージがあるために、障害者の差別につながるという考えもあって「障がい」という言葉が使われることがあります。

このきっかけとなったのは内閣府の『「障害」の表記に関する結果について』(2010年)で報告されたことで、障がい者制度改革推進本部が設けられたことから、障がいという表記をする企業や団体が増えました。

『「障害」に係る「がい」の字の取扱いについて』の中に「表記を改めている都道府県・指定都市」という項目があり、2006年には8道県(北海道、山形県、福島県、岐阜県、三重県、熊本県、大分県、宮崎県)、5市(札幌市、新潟市、浜松市、神戸市、福岡市)が使用を始めましたが、札幌市は先駆けて2003年には始めています。

メディアの場合には、基本は「障害」を使い、障害を抱える人の場合は「障がい者」を使っているところが多くなっています。

しかし、言葉の使い方にシビアなNHKの場合には「障害者」を使っています。

その理由ですが、障害があるのは人のほうではなくて社会側のほうだ、ということです。

障害者が障害を感じるのは本人ではなく、社会との関係性にあるという考えです。

わかりやすい例をあげると、足に障害がある人が2階に行けないのは、階段しかない、エレベータがないという構造に問題があって、このことが障害になっているという考え方です。

このような障害に対する理解がなくて、現状のままにしておくことが“障害”となっているのです。

さらに言うなら、理解がないことが障害を生み出す元凶で、障害者対策、発達障害者対策は、まずは地域社会の理解を進めることを急がないといけないということを主張しています。

#2

発達障害の感覚過敏は自律神経の調整を乱すのか

発達障害は自律神経の調整が乱れがちであることが指摘されています。

自律神経の乱れは五感に影響されることが知られていて、発達障害の自閉症スペクトラム障害に多くみられる感覚過敏は自律神経の乱れを悪化させるのかという疑問があげられることがあります。

自律神経の乱れを起こす大きな原因として指摘されているのは睡眠のリズムです。

決まった時間に入眠して、決まった時間に起床して生活リズムが整えられていると、自律神経の交感神経と副交感神経の働きが正常に保たれるようになります。

入眠を妨げることがあると、乱れの原因になっていくわけですが、眠りに影響するものとしては温度、湿度、光、音、臭いなどがあります。

入眠のために室内環境を整えてあげたとしても、臭いだけは部屋の隙間からも侵入してくるため、これを完全に防ぐのは難しいことです。

不快な臭いがすることで心拍数や呼吸数が増え、血圧が上昇して、血流が低下するということが起こります。

これは興奮系の交感神経の働きが盛んになったときに起こることです。

自律神経の交感神経は昼間の時間帯に働きが盛んになり、夕方以降は副交感神経に支配されます。

その状態で入眠することができれば、落ち着いた状態で就寝して、寝ている間に疲労が取れ、脳や内臓も休めることができるようになります。

ところが、これから眠ろうとするときに、または眠っているときに交感神経の働きが盛んになってしまうと、心身ともに興奮状態で休むことになってしまいます。

匂いは脳を直接刺激することができるために効果が早く、心地よいと感じる匂いでは基本的に副交感神経の働きが盛んになって、これがリラックス効果を生み出してくれます。

心地よい匂いの中には少なからず交感神経の働きを盛んにするものも含まれています。

種類の異なる臭いを嗅ぐことで自律神経の切り替えができるということで、研究によって副交感神経の働きを盛んにしてくれる匂いを活用したのがアロテテラピーで、ラベンダー、カモミール、ベルガモット、スイートオレンジなどが使われます。

心地よくない臭いのほうは、副交感神経の働きを盛んにするようなことはなくて、交感神経の働きが盛んになるばかりです。

副交感神経は心身をリラックスさせて眠りに誘い、眠りを深くする作用があるのに対して、交感神経は目覚めさせるほうの神経であり、身体を活性化させる神経であるために寝つきにくくなり、眠れたとしても眠りが浅くなり、睡眠時間の割には疲れが取れない、疲労の蓄積によって心身の活動の悪影響が起こる、注意力が低下する、不安な感情が高まるといったことになっていきます。

臭いに過敏な人は、不快な臭いを感じると交感神経の働きが特に盛んになりやすく、臭いが気になったときから神経過敏になって交感神経の働きが高まる一方となります。

感覚過敏の嗅覚過敏が起こっていると、他の人は気にしないで済む程度の臭いでも、マスキング(他の匂いで悪臭を覆い隠す)をしても悪臭が気になるという過敏反応をしがちです。

#3

発達障害者は社会的障害に向き合うチャレンジャー

「発達障害は障害ではない」と日本メディカルダイエット支援機構は事あるごとに主張しているのですが、これが通じにくい理由は固有名詞にあります。

発達障害は病名になっていて、法律名でも発達障害者支援法となっています。

障害という名称を使うなら、障害者の一定の雇用を義務づける障害者雇用促進法にも発達障害者を入れてほしいところなのですが、他の障害もないと発達障害だけでは対象者とはなっていないのが現状です。

障害者が「障がい者」と表記されることについて以前に紹介しましたが、あえて“障害”を使っているのは、障害があるのは社会側であって、障害者を障害者たらしめているのは障害者が暮らしにくい状況を作り出している社会のほうで、社会の理解と受け入れ体制が充分でないことが“障害”であるということを説明しました。

発達障害者は全人口の約10%と推計されています。

これだけ多い上に、男女差では男性のほうが圧倒的に多くて、女性の2.4倍にもなっています。

これで計算すると男性の発現率は14%にもなります。

これは男女共同参画の時代には適切な表現ではないことは承知していますが、社会の働き
手で多くを占める男性の発達障害が多いということは、今後の社会を支えるための大問題となります。

ひきこもりの約30%は発達障害者との調査結果もあり、発達障害者は世の中に出ていかない、受け入れられにくいという印象があるかもしれませんが、IT社会の進展もあって、発達障害者の中でも自閉症スペクトラム障害は集中力、持続力、こだわり、几帳面さという特性があり、これを活かす仕事選びをすれば優れた能力の集団とすることができます。

その優れた能力を発揮して、社会的な障害に向かい合う挑戦者(チャレンジャー)となるためには、まずは社会的な理解が必要であり、受け入れてもらえる環境づくりのために、私たちは発達障害の理解を進めるところからチャレンジしています。

#4

発達障害と勘違いされがちなHSC

発達障害の自閉症スペクトラム障害は、ハイリー・センシティブ・チャイルド(HSC)と勘違いされることがあります。

HSCは、生まれつき周囲の刺激や他人の気持ちに非常に敏感なために疲れやすく、傷つきやすい子どものことで、アメリカの心理学者のエレイン・N・アーロン博士が、この概念を初めて打ち出しました。

国籍や性別に関わらず、5人に1人の割合で存在しているとされていますが、これは生まれ持った気質であって、病気でも障害でもないことから、治す必要がないものとされています。

優しい性格で、思いやりがあって、思慮深いと、よい気質であり、感受性が豊かで、通常ならとてもよい性格とされることです。

しかし、繊細すぎることから本人に対して刺激があっただけでなく、他の子どもが叱られたりしただけで苦しくなったり、ちょっとした刺激(音や光など)で体調が悪くなるといったことから、集団生活が苦手となっています。

表面上では自閉症スペクトラム障害の感覚過敏と見分けがつきにくいことがあります。

ただでも発達障害は社会に理解されていないので、もっとHSCは理解されにくく、発達障害の早期発見法が進んでいるのに対して、HSCのほうは発見法が確立されていないことから、自閉症スペクトラム障害と混同されたり、気づかずに放置されることさえ起こっています。

というのは、周囲の刺激による感情や気分の変化、周囲の雰囲気、音や光などへの環境などの、どこに敏感に反応するかが個人によって大きく異なっているからです。

自閉症スペクトラム障害なら積極的・消極的で分類するなら消極的、引っ込み思案ということでわかりやすいのですが、HSCは消極的な子どもだけでなく、積極的で多動的な行動をする子どもも30%ほど存在しているとされて、見分けにくいのです。

次回はHSCのチェック法を紹介します。

#5

発達障害と勘違いされがちなHSC その2

HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)は専門家でも見逃し、勘違いすることもあることから、チェック法として4つの性質があげられていて、この項目はDOESと呼ばれています。

Depth 深く考える
□察しがよい
□じっくり考えるために慎重になる
□物事の本質を突く発言をする

Overstimulation 過剰に刺激を受けやすい
□大きな音や光が苦手
□痛みや暑さ寒さに敏感
□楽しいことでもすぐに疲れる

Empathy&Emotional 共感力が高く、感情豊か
□人の痛みや苦しさを自分のことのように感じる
□動植物の気持ちに寄り添う
□残酷なドラマや映画が苦手

Subtlety わずかな刺激を察知
□髪型や服装の変化に敏感
□小さな音やかすかな匂いに気づく
□少しの刺激で頭痛や腹痛を起こす

これがすべてではなく、他にもチェック法はあるのですが、大きな違いは自閉症スペクトラム障害が他人の気持ちを察するのが苦手であるのに対して、HSCは他人の気持ちを察する能力が優れているということです。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

発達障害を理解するためのコンテンツ

発達障害者支援法

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