2020年4月25日土曜日

発達障害にL‐カルニチンは効果があるのか、偏食の発達障害児の栄養指導に活用する食生活チェック、発達障害対応は全部の大学でできているのか、発達障害は10%の確率で正しいのか、発達障害児の母親に必要なのは特徴を活かす支援

発達障害にL‐カルニチンは効果があるのか、偏食の発達障害児の栄養指導に活用する食生活チェック、発達障害対応は全部の大学でできているのか、発達障害は10%の確率で正しいのか、発達障害児の母親に必要なのは特徴を活かす支援について

#1
 発達障害にL‐カルニチンは効果があるのか

#2 偏食の発達障害児の栄養指導に活用する食生活チェック

#3 発達障害対応は全部の大学でできているのか

#4 発達障害は10%の確率で正しいのか

#5
 発達障害児の母親に必要なのは特徴を活かす支援

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

発達障害にL‐カルニチンは効果があるのか

発達障害は脳の発達にズレがあることから起こる特性で、自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害に大きく分けられています。

社会との交わりが苦手で、普通に暮らすことだけでも心理的にも身体的にも大きな負担がかかっていて、そのために非常に疲れやすくなっています。

身体を動かすためのエネルギーは全身の細胞の中のミトコンドリアで作られています。

ミトコンドリアはエネルギー産生の小器官ですが、その重量は全身の体重の10%ほどにもなっています。

それだけ重要な生命維持のための器官だということです。

三大エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)のうち主にエネルギーを作り出す材料となっているのはブドウ糖と脂肪酸です。

エネルギー量はブドウ糖が約4kcalであるのに対して、脂肪酸は約9kcalと2倍以上にもなっています。

ミトコンドリアで作り出されたエネルギーのうち生命維持に使われる基礎代謝は約70%となっています。

基礎代謝のうちの約70%は体熱産生に使われています。

ということで、エネルギーの約50%は体温を維持するために使われているわけです。

基礎代謝の約30%、全身のエネルギー量の約20%しか心身を働かせるために使われていないということは、心身の活動のために多くのエネルギーを必要とする発達障害の人は脂肪酸を効率よくエネルギー化することが重要となります。

ミトコンドリアに脂肪酸を取り込むためにはL‐カルニチンが必要です。

脂肪酸はL‐カルニチンと結合しないとミトコンドリアの膜を通過することができないからですが、エネルギー代謝に欠かせない成分であるために体内で合成されています。

しかし、合成のピークは20歳で、年齢を重ねるほど体内で作られる量が減っていき、これが加齢による代謝低下の大きな原因となっています。

L‐カルニチンは以前は医薬品としてしか使うことができなかったのですが、今では食品成分として使用することが許可されていて、サプリメント成分ともなっています。

発達障害児(18歳未満)は体内に充分にあるのでサプリメントから摂る必要はないのですが、30代になったら摂取することを考えてもよいのではないかという提案をさせてもらっています。

#2

偏食の発達障害児の栄養指導に活用する食生活チェック

発達障害児は偏食傾向が強いことが知られています。

強いというレベルでは済まずに、極端な偏食となっていることもあって、栄養バランスが乱れて、これが発達障害の状態を悪くすることにもなりかねません。

単なる好き嫌いの範囲を超えて、絶対に食べられない食品、食べようとしても食べられない料理があるわけですが、これは発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害に多く見られます。

自閉症スペクトラム障害には、感覚過敏が多くみられ、触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚のどれが過敏になっても食事に影響はあります。

複数の感覚が過敏になることもあり、これが極端な偏食を引き起こす要因となっています。

食べられない食品を考慮して、交換する食品を選んでメニューを作るという方法を指導するのが一般的ですが、複数の食品が食べられないようなことになると、単純な交換、代替食では栄養の補給が保たれなくなります。

そこで活用しているのが、日本メディカルダイエット支援機構が食生活の実態を調べるために実施している食生活チェックです。

チェックのための調査票は、もともとは食傾向を確認するために作成したものです。

一般の食生活調査は、1週間などの一定期間の食材を調査して、どれくらいの栄養素を摂取したのかを調べて、栄養素の充足率を導き出すために実施しています。

その結果を受けて、不足している栄養素をプラスして、摂りすぎると弊害が出るものはマイナスするように指導されるのが通常です。

これはメニューと食材、分量、調理法を記録して提出するほうも大変で、この結果を受けて過不足を計算するほうも大変です。

不足している栄養成分が指摘されても、食品は栄養素として売っているわけではなくて、いろいろな栄養素が含まれている食品を選び、不足している分を補うだけの分量を選んで、それが料理になったときに減る分も含めて食べるものと量を決めなければなりません。

そんな面倒なことを排除して、簡単にチェックして、簡単に指導できるようにしたのが、私たちのオリジナルの食生活チェックの調査票です。

主食は1日に食べたものをチェックして、そのほかの主菜、副菜などは1週間に食べたものをチェックするだけです。

チェック項目は食品の種類ごとに週に何回食べたかをチェックするようにしています。

チェックが終わったら、面談をするなり感想を書いてもらうなりしてからアドバイスに移ります。

そのアドバイスというのは、1日もしくは1週間に食べるべき回数を示すことが基本です。

もちろん、なぜ必要なのかの説明をして、充分に理解してもらってから変更をするようにしてもらいます。

感想を出してもらうと、私たちがアドバイスしようとしていることと、ほぼ同じ結果が返ってきます。

つまり、チェックしているうちに、これは食べなければならない、もっと食べたほうがよい、減らさないといけないということに自分で気づけるように作られているのです。

この調査票は、食品の摂取回数と分量を変えるだけなので、忙しいお母さん方にも受け入れてもらいやすくなっています。

負担をかけるようだと変更してもらうことも、続けることも難しくなります。

特に発達障害で極端な偏食がある子どもが食べるものを作っている人にとっては、わかりやすくて続けられることでないと、よい結果が得られなくなるので、この方法をすすめるようにしています。

#3

発達障害対応は全部の大学でできているのか

日本学生支援機構の「大学、短期大学および高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」(2018年度)によると、障害学生の在籍率は1.05%となっています。

厚生労働省の発表によると障害者の割合は約7.4%であるので、大学などに進学できている人は、わずかでしかないことになります。

これは全体的な統計で、公立の短期大学は3.55%、国立高等専門学校は3.14%、公立高等専門学校は1.64%と、大学では少なく、私立校でも少なくなっていることがわかります。

在籍している障害者のうち発達障害者は17.9%となっていますが、「1.05%×17.9%」で約0.18%となります。

発達障害児の割合が10%と推定されていることを考えると、発達障害がある人の多くは大学などへの進学がかなえられていないという実態が浮かび上がってきます。

すべての大学などが発達障害者を受け入れているわけではなくて、在籍しているのは6割くらいとなっています。

これは大学が受け入れを拒否しているということではなくて、受け入れるための支援体制が整っていないことが指摘されています。

発達障害のある学生の支援内容としては、授業の支援では注意事項等文書伝達、休憩室の確保、実技・実習配慮などとなっています。

授業以外の支援では保護者との連絡、学習指導(履修方法、学習方法など)、専門家による心理商法としてのカウンセリング、社会的スキル指導(対人関係、自己管理など)となっています。

こういった支援体制があることは、安心して通学して学び続けるためには大切なことであることは認めますが、それと同時に学校に通っている他の学生が発達障害を充分に理解していることが大切な条件となります。

そんなことを大学生に対して、わざわざ指導する必要はないはずで、発達障害への理解は発達障害児が同級生、同窓生にいる間に得られているのは普通だと思われます。

しかし、普通と思われることが普通でない結果となっているのが発達障害の特性で、同級生、同窓生を思いやって、学んでいたなら、社会的な理解は、とっくに進んでいるはずなのに、そうはなっていないのが実情です。

進学先の環境づくりのためにも、発達障害の理解を進めるための普及活動、児童発達サポーター養成講習への参加は重要だということを説明させてもらっています。

#4

発達障害は10%の確率で正しいのか

発達障害児の発現率は、文部科学省の調査では約6.5%となっていますが、これは全部を明らかにしたわけではなく、まだ把握されていない子どもを含めると10%に達するとみられています。

これは大きな割合であるのは間違いなく、発達障害は子どものときに発見して、早期に支援できれば状態を進めないようにする、改善させるということもできて、将来に社会人として活躍できる道が開かれているということです。

しかし、早期発見ができずに、もしくは親は気づいていても社会的な差別や受け入れ体制の問題もあって明らかにしてこなかったという例もあり、大人になってから発見されることも少なくありません。

となると、どれくらいの数が実際にいるのかわからないということにもなります。そこで欧米のデータの約20%を推定値として考えるようにしています。

男子のほうが発達障害の発現率は高くて、実際に発達支援に当たっている人からは“7対3”ということが聞かれます。

文部科学省のデータでは男子は女子の2.4倍という数字が出ていて、これはほぼ“7対3”に近い数になっています。

男女合わせて10%の発現率とすると、男子は14%にもなる確率です。このことから欧米並みの20%の発現率とした場合には28%にもなります。

これまでの数字は、発達障害児の親にとっては、あまり重要ではないという声も届いています。

というのは、これだけ多くの確率で出現する可能性があるということは、親にとっては半々の確率という感覚です。

生まれてきた子どもが、発達障害であるのか、そうでないのかの、どちらかの確率ということで、出産にあたっても、発達障害の特性が現れてくる3歳くらいまでの期間は相当に不安を抱えている状態となります。

子どもが発達障害ではなかったことがわかって安堵したという母親と話す機会がありましたが、そのときに、よかったからといって、その後は発達障害のことを考えないで済むというような考えをするのではなく、これからは発達障害児の支援、発達障害を社会に広く理解してもらうための活動に力を注ごう、少なくとも発達障害児を理解してあげようという態度で動いてほしい、ということを伝えさせてもらいました。

#5

発達障害児の母親に必要なのは特徴を活かす支援

発達障害児の中には特殊な能力の持ち主が存在していることから、それを期待する風潮があります。

期待を寄せている当事者である発達障害児の親としては、すべての発達障害児ではないとしても高確率で特殊な能力の持ち主がいて、自分の子どもも同じであると考えたい気持ちであることは充分に理解ができることです。

発達障害児は、脳の発達のズレのために、平均的な能力からすると、かなりの凹凸(おうとつ)があります。

そこで凹の部分、つまり社会生活のためにマイナスとなっている部分を埋めようとする支援が行われるのが一般的です。

もちろん、凸の部分、つまりプラスとなっている部分を伸ばそうとする支援もされているのですが、通常には発達障害児への支援というと、凹を埋めることから始められていて、いろいろな制約があって凸を伸ばすところまでは進んでいないという実態があります。

凹を埋めること以上に凸を伸ばすというのは、発達障害児に対しての支援だけでなく、発達障害児の親についても同じことがいえます。

親への支援によって、現在の能力を伸ばして、それが発達障害児の支援にもつながればよいという考えです。

発達障害児の母親への支援は、勝手に考えて押し付けるようなことをするのではなくて、どんな支援が必要かということを聞くようにしています。

その返事の中で数が多くて気になるのは「短時間で稼げる仕事を紹介してほしい」という声でした。

発達障害児の母親の中で、子どもの世話をするだけでよいという例は少ないはずで、負担がかかる子どもの世話をしながら収入を得なければならない、さらに他の子どもの世話もあり、自分の親の世話をしなければならないという状況にある母親も少なくはありません。

自由になる時間が短い中にあって、稼ぐようにしなければならないとなると、個人の能力を完全に活かし切ることで収入を得るようにしなければならないことになります。

そのために、日本メディカルダイエット支援機構が実施している発達障害児の母親は、まずは自分の能力に気づいてもらい、それが活かせる方法を見出すためのきっかけづくりを一緒に進めていくための勉強の機会を提供することから始めています。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

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