2020年4月25日土曜日

発達障害の感覚過敏は五感だけなのか、社会福祉連携推進法人とは何だろうか、発達障害児の知能指数は低いのか、発達障害児の知能指数は正確に検査されているのか、大人の発達障害は子どものときの見逃しなのか

発達障害の感覚過敏は五感だけなのか、社会福祉連携推進法人とは何だろうか、発達障害児の知能指数は低いのか、発達障害児の知能指数は正確に検査されているのか、大人の発達障害は子どものときの見逃しなのかについて

#1
 発達障害の感覚過敏は五感だけなのか

#2 社会福祉連携推進法人とは何だろうか

#3 発達障害児の知能指数は低いのか

#4 発達障害児の知能指数は正確に検査されているのか

#5
 大人の発達障害は子どものときの見逃しなのか

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

発達障害の感覚過敏は五感だけなのか

発達障害の感覚過敏というと、自閉症スペクトラム障害にみられる特性ですが、視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚の五感の過敏について語られることが一般的です。

しかし、感覚過敏というのは、いわゆる伝統的な分類の感覚だけではありません。

この五感こそが感覚のすべてというような表現がされていることもあるのですが、これ以外にも感覚過敏はあります。

その感覚過敏について紹介するときに、例としてあげられているのが発達障害児にみられるアレルギーです。

アレルギーは、同じ刺激を受けると同じように反応するわけではなくて、それほどの刺激でないはずなのに過敏に反応することがあります。

身近なアレルギーである花粉症は、通常では花粉を浴びても特に反応が起こらないような量であっても、花粉を身体から追い出すための反応である、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、涙といった症状が起こります。

このような症状が起こらない程度の刺激であっても、その人にとっては激しい反応を起こさないではいられない状態になっています。

発達障害の感覚過敏が現れやすい人は、他の過敏も現れやすい傾向があります。

アレルギーが起こってしまうと、感覚が過敏になって他のアレルギーが起こりやすくなります。

アレルギーの中でも大した状態ではないように思われている花粉症でも、ひとたびアレルギーが起こって過敏になってしまうと、“たかだか花粉症”などと言っていられるような状態ではなくなって、他のアレルギーを引き起こす引き金となってしまうのです。

感覚過敏は、発達障害の特性である脳の発達のズレから、普通なら脳が調整したり、マスキングしたりして感覚を弱めてしまうようなことでも、ストレートに刺激が脳に伝わってしまいます。

そのために、簡単には脳に伝わりにくいような刺激でも、強く感じてしまいます。

こういったことから、アレルギーを起こすようなレベルの刺激でなくても、過敏に反応してしまうことが発達障害の人では心配されているのです。

#2

社会福祉連携推進法人とは何だろうか

厚生労働省は、社会福祉法人が大規模化や協働化に円滑に取り組めるように、検討会を設けて、「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会報告書」を発表しました。

社会福祉法人の大規模化や協働化の方法として、社会福祉協議会による連携や社会福祉法人の法人間の連携、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設、希望する法人が合併・事業譲渡に円滑に取り組めるような環境整備を提言しています。

この中でも重要な事項として注目されているのは、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人制度の創設です。

これは現状で多く実施されている人材の連携などと、合併・事業譲渡の中間的な対処法として提案されていることで、社会福祉法人が地域の福祉サービスを提供していくための組織として、社会福祉法人を中核とする非営利連携法人である社会福祉連携推進法人を創設して、新たな展開をしていくことを目指しています。

その報告書が2019年の12月に発表され、2020年の通常国会で関連法の改正案が提案されることとなっています。

社会福祉連携推進法人の業務としては、
①地域包括ケアシステムの構築を含めた地域共生社会の実現に向けた連携、
②災害対応に係る連携、
③福祉人材確保・育成、
④本部事務の集約や生産性向上のための共同購入などの社会福祉事業の経営に係る支援があげられています。

つまり、社会福祉事業ではなく、連携の推進が目的とされているということです。

この事業は社会福祉法人と社会福祉法人との間での実施だけでなく、NPO法人(特定非営利活動法人)、医療法人、企業も参入して、それぞれが得意とする専門性を活かして、目的を達成することとしています。

この中で最も注目されるのは、地域共生社会の実現で、社会福祉法人が連携して、地域の共生、つまり障害者も健常者も、子どもも高齢者も、状態や年齢に関係なく、等しく幸せを感じることができる事業の実践が期待されているのです。

#3

発達障害児の知能指数は低いのか

知能指数はIQ(Intelligence Quotient)は、知能検査の結果を数字で表したもので、一般には高いほど知能が高いこと、低いほど知能が低いことを表しています。

知能指数の標準得点の中央値は100で、85〜115の間に約68%が収まり、70〜130の間に約95%が収まるとされています。

発達障害児を受け入れる支援施設は、発達障害だけがみられた子どもだけを受け入れるところと、他の障害があって発達障害もある子どもを受け入れているところに大きく分けられています。

他の障害というのは、知的障害、視覚障害、聴覚障害、言語障害、肢体不自由、内部障害に大きく分けられています。

発達障害の他に障害がある子どもであれば、すべてを受け入れてもよいはずですが、実際には身体的な障害のある子どもは少なくて、知的障害の子どもを受け入れる例が多くなっています。

これ以外の子どもは、発達障害の範疇ではなく、障害者を受け入れる施設が対象となります。

では、知的障害がある発達障害児は、どのレベルの知的指数となるのかというと、IQでは69以下は知能指数が非常に低い知的障害とされます。

IQが70〜79では知能指数が低いとされて、この範囲はグレーゾーンとされています。

発達障害と知能指数の関係については、どうしても発達障害児は知能指数が低いように思われがちですが、文部科学省の『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』(2012年)で発達障害の可能性がある小中学生は6.5%と発表されたのは、知的発達に遅れはないものの学習面や行動面に著しい困難を示すと担任が回答した児童となっています。

つまり、この場合の発達障害は知的障害がない子どもということになります。

発達障害児の知能指数は低いわけではなくて、アスペルガー症候群では、むしろ知能指数が高いことが指摘されています。

こういったことから、発達障害児は知能指数が低いようなことは単純には言ってほしくないのです。

#4

発達障害児の知能指数は正確に検査されているのか

発達障害児は、発達障害ではない子ども比べると知能指数が低めであると考えられることが多いのですが、これには大きな疑問があります。

知能指数を把握するための検査は、おおまかな知能の判断基準とされ、知的障害の診断や支援にも使われています。

試験には複数の方式があり、方式によって30〜60分の検査時間が定められています。

その時間に集中して試験問題を解くことができるのを前提としていて、発達障害児が、その時間、試験問題を解き続けることができるのかと言われると、大きな疑問も抱かれています。

検査内容には、言語能力が大きく関係するA式と、言語能力があまり関係しないB式があり、この二つをミックスさせたC式(AB混合式)に分類されています。

A式検査は問題が文章で提示され、それが三段論法となっているので、深い考察が苦手な子どもにとっては低い結果が出やすくなっています。

海外の出身で、日本語は話せるものの細かなニュアンスまではわからないという子どもでは本来の知能よりも低い結果となることが指摘されていますが、それと同じようなことが発達障害児にも言えるということです。

B式検査は図形や数字などを用いた理数的な問題が多く出され、これまで学習してきた文化的な特性が影響されない内容とされています。

もともとは海外出身の人でも把握しやすくするために始まったものです。

発達障害であっても問われている意味がわかりやすく、知能指数が把握しやすいと考えられているものの、発達障害の学習障害には算数機能に障害が認められるものもあります。

学習障害は知的発達に遅れがないものとされていますが、算数機能の障害があると実際の知的発達を反映しない知能指数が現れてしまうことになります。

こういったことも、それぞれの状態に合った個別式検査が全員に対して実施されればよいのですが、学校で集団の筆記式検査で実施される集団式検査が多く、どうしても選抜試験としての結果が出やすくなります。

学習障害の読字障害、書字障害の場合には、そもそも筆記試験が苦手であることが考慮されているのかとなると、これには疑問があります。

個別式検査は1対1で対話しながらの検査で、正確な結果は出るものの手間がかかります。

そこで学校では集団式検査で低い結果が出たときに実施されます。

個別式検査は対象年齢によって方法は異なるのですが、書面での検査ではなく、積み木、ミニチュア模型、カラーチップ、絵カード、文字カードなどを用いた、よりリアルな方法となっています。

#5

大人の発達障害は子どものときの見逃しなのか

大人になって発達障害が起こるのは、子どものときに発見できなかったことが大きな原因だと考えられています。

確かに、子どものときに注意して観察をしていれば早期に発見できて、早期に支援を始めることで改善させることができます。

親は気づいていたのに、周囲を気づかって専門医にみせなかったということを聞くと、大人になってから発見されただけで、子どものときに特性がなかったわけではないという考えも理解できることです。

こういったことが言えるのも、発達障害は脳の発達のズレによって起こるもので、年齢を重ねて治るものではないからです。

むしろ、年齢を重ねることで状態が悪くなることもあります。

子どものときには家族や学校のサポートがあり、その環境の中で基本的に暮らしているので、生きにくさを感じていたとしても障害と本人や家族が感じるほど、診断する医師が感じるほどのことではなかった、ということもあります。

また、子どものときには負担と責任があったとしても限定的で、そのことが大きな負担にならなかったのに、大人になってからは負担と責任が大きなプレッシャーとなっていくことにもなります。

仕事で責任を持たされるということだけでなく、結婚して、子どもができて、子どもに関わる責任もかかってくるということになってきます。

そのために、対応能力の限界を超えてしまい、これが発達障害として現れるようになります。
子どものときには現れにくく、大人になってから認められるのは発達障害の中でも注意欠如・多動性障害での報告が増えていますが、あとになって子供のときにグレーゾーンだったと言われることもあります。

グレーゾーンは症状が見られても診断基準を満たしていないために発達障害とされなかったものです。

グレーゾーンという言葉は正式な診断名ではなくて、「注意欠如・多動性障害の傾向がある」といったように伝えられます。

生活習慣病の場合にはグレーゾーンというと、予備群という言葉で表される症状が軽い人を指していますが、発達障害の場合は症状が軽いとは限りません。

その日の調子によって変動があって、
①調子がよいときも悪いときも診断域にない、
②調子が悪いときだけ診断域になる、
③調子がよいときも悪いときも診断域にあるものの支援が必要な状態ではない、という3つに分けられています。

本来なら③の診断域にあっても発達支援が必要ではないとされている場合も、発達障害と同じ支援が受けられるようになってほしいところですが、支援施設の不足などによって、これは難しいことです。

だから、日本メディカルダイエット支援機構の発達支援の取り組みは、施設ではなく家庭で親が対応できるように、教育と情報発信による支援から始めているのです。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

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