2020年4月27日月曜日

自閉症のある子どもの教育における配慮、自閉症のある子どもの施設の支援体制、自閉症の理解のための概要把握

自閉症のある子どもの教育における配慮、自閉症のある子どもの施設の支援体制、自閉症の理解のための概要把握、について

#1
 自閉症のある子どもの教育における配慮

#2 自閉症のある子どもの施設の支援体制

#3 自閉症の理解のための概要把握

#4 自閉症の理解のための概要把握2

#5
 自閉症の理解のための概要把握3

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

自閉症のある子どもの教育における配慮

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、どのような場での教育であっても配慮が必要であるとして、教育内容・方法を示しています。

教育内容は、学習上、生活上の困難を改善・克服するための配慮として、自閉症の特性である「適切な対人関係形成の困難さ」「言語発達の遅れや異なった意味理解」「手順や方法に独特のこだわり」などにより、言語内容の習得の困難さを補完する指導(動作などを利用して意味を理解する、繰り返し練習をして道具の使い方を正確に覚えるなど)を行うこととしています。

学習内容の変更・調整は、自閉症の特性によって、数量や言葉などの理解が部分的であったり、偏っていたりする場合の学習内容の変更・調整(理解の程度を考慮した基礎的・基本的な内容の確実な習得、社会適応に必要な技術や態度を身につけることなど)を行うこととしています。

次に教育方法ですが、情報・コミュニケーションと教材の配慮は、自閉症の特性を考慮して、視覚を活用した情報(写真や図面、模型、実物などの活用)を提供します。

また、細かな制作などに苦手さが目立つ場合が多いことから、扱いやすい道具を用意したり、補助具を効果的に利用したりするようにします。

学習機会や体験の確保は、自閉症の特性によって、実際に体験しなければ行動などの意味を理解することが困難であることから、実際的な体験の機会を多くするとともに、言葉による指示だけでは行動できないことが多いことから、学習活動の順序をわかりやすくするように活動予定表などの活用を行うこととしています。

心理面・健康面の配慮は、情緒障害のある子どもの状態(情緒不安や不登校、ひきこもり、自尊感情や自己肯定感の低下など)に応じた指導(カウンセリング的対応や医師の診断を踏まえた対応など)を行います。

また、自閉症の特性によって、二次的な障害として情緒障害と同様の状態がおこりやすいことから、それらの予防に努めることとしています。

#2

自閉症のある子どもの施設の支援体制

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、支援体制を示しています。

支援体制は、専門性のある指導体制の整備として、自閉症や情緒障害を充分に理解した専門家からの支援や、特別支援学校のセンター的機能、自閉症・情緒障害特別支援学級、医療機関などの専門性を積極的に活用して、自閉症などの特性について理解を深められるようにするとしています。

子ども、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮として、他者からの働きかけを適切に受け止められないことがあることや言葉の理解が充分ではないことがあること、方法や手順に独特なこだわりがあることなどについて、周囲の子どもや教職員、保護者への理解啓発に努めることとしています。

災害時などの支援体制の整備として、自閉症や情緒障害のある子どもは、災害時の環境の変化に適応することが難しく、極度に混乱した心理状態やパニックに陥ることを想定した支援体制を整備することとしています。

施設・設備は、校内環境のバリアフリー化として、自閉症の特性を考慮して、備品などをわかりやすく配置したり、導線や目的の場所が視覚的に理解できるようにしたりすることしています。

発達、障害の状態、特性などに応じた指導ができる施設・設備の配慮として、衝動的な行動による怪我などが見られることから、安全性を確保した校内環境を整備するとしています。

また、興奮が収まらない場合を想定して、クールダウンなどのための場所を確保するとともに、必要に応じて自閉症特有の感覚(明るさやちらつきへの過敏性など)を踏まえた校内環境を整備するとしています。

災害時などへの対応に必要な施設・設備の配慮として、災害などの発生後における環境の変化に対応できないことによる心理状態(パニックなど)を想定して、外部からの刺激を制限できるような避難場所、施設・設備を整備することとしています。

#3

自閉症の理解のための概要把握

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。

自閉症は、
①他人との社会的関係の形成の困難さ、

②言葉の発達の遅れ、

③興味や関心が狭く特定のものこだわることを特徴とする発達の障害である、

としています。

その特徴は3歳くらいまでに現れることが多く、小学生年代まで問題が顕在していることもあります。そして、中枢神経に何らかの要因による機能不全があると推定されています。

高機能自閉症は、知的発達の遅れを伴わない自閉症を指します。

同様に、アスペルガー症候群(アスペルガー障害)は、自閉症の上位概念である広汎性発達障害の一つに分類され、知的発達と言語発達に遅れはなく、3つの自閉症の特性のうちコミュニケーションの障害が比較的目立っていません。

アスペルガー症候群のコミュニケーションの特徴として、一方的に自分の話題中心に話し、直接的な表現が多く、相手の話を聞かなかったり、また相手が誰であっても対等に話をすることがあります。

3つの基本的な障害特性について、
①に関連して現れる行動特徴としては、相手の気持ちや状況を考えず、自分の視点中心に活動しているように見えることがあります。

例えば、自分の好きなことを質問し続けたり、一人遊びに没頭していたりするなどです。

また、関わり方が一方的で、ルールに沿った遊びが難しく、仲間関係を作ったり、相手の気持ちを理解することが難しい状況があります。

②に関連して現れる行動としては、概して言語の理解や使用に発達の遅れが見られ、まったく言葉を発しないこともあります。

また、他者の言葉を模倣していうこと(反響言語)だけのことがある一方で、普通の言葉づかいではない独特の言い方や自分の好きなことだけを一方的に質問し続けることもあります。

③については、次の機会に紹介します。

#4

自閉症の理解のための概要把握2

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。

前回に続いて、特定のこだわりについて紹介します。

特定のこだわりに関連して現れる行動特徴としては、こだわりがあって、同一種類へのこだわりや同じことへのこだわりがあります。

同一種類へのこだわりは、例えば水洗トイレや水道の蛇口やスイッチ類へのこだわりで、気になっていることや気に入っているこだわりです。

無理に止めさせても通常は子どもからの抵抗は少なく、パニックは生じないことが多くなっています。

同じことへのこだわりは、例えば同じ道、同じ場所、同じやり方、同じ物(椅子の種類ではなく、青い色の椅子でないと座れないなど)へのこだわりは、状況理解ができずに生じている不安を、慣れ親しんでいる同じ物で抑えている状況があり、そのために教師などが不用意に介入すると、子どもからの抵抗が強くなり、パニックに至ることも少なくありません。

こだわりの現れ方としては、第一には、ある行動を同一のパターンで繰り返すことで、日常生活のさまざまな場面で見られます。

例えば、ごく単純な動作、仕草、あるいは遊びを飽きることなく繰り返すことがあります。

また、日常生活や遊びなどの活動に手順を定め、その順番を変えないことがあります。

その手順は儀式的で、合理的でないことも多く、その一連の活動が円滑になされないような状態になっても、順番どおりに遂行しないと気が済まないような状態が見られます。

第二は、環境の変化に適応できないことです。

例えば、学校の日課が急に変わると、適切に対応することができず、著しく動揺することも見られ、入学や進級、転居などでも、その変化には想像を超えた苦痛を伴うことがあります。

第三は、特定の事物に興味と関心が集中することです。

例えば、漢字、カレンダー、乗り物など、あるいは描画などが対象となります。

そうした特定の事物への興味・関心が何年も続き、それに関する多量の知識や高い技術を驚くほど身につける場合があります。

知的発達が遅れている場合は、感触や身体運動感覚、嗅覚などを媒介する自己刺激に興味・関心が集中することもあります。

#5

自閉症の理解のための概要把握3

文部科学省の「初めての通級による指導を担当する教師のためのガイド」には発達障害に関する部分があり、自閉症のある子どもの指導に当たって、自閉症の概要として基本的な障害について示しています。

前回に続いて、その他の特徴について紹介します。

自閉症スペクトラム障害では、こだわりの現れ方の3つの基本的な障害特性に加えて、感覚近くの過敏性、刺激の過剰選択性、知能テストの項目に著しいアンバランスが見られることがあります。

感覚知覚の過敏性や鈍感性は、多くの自閉症のある子どもにも見られますが、その現れ方は多様であり、例えば一般に不快であると感じるガラスを爪でひっかいたような音は問題ないが、特定の人の声や教室内の雑音には極端な恐怖を示したりすることがあります。

他人に触られることを嫌う一方で、身体が傷ついても、痛みを感じていないように見えることもあります。

また、銀紙やセロファンなどの光る物、換気扇や扇風機などの回転するものに強い興味を示すこともあります。

このように、感覚知覚の過敏性や鈍感性は、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚などのさまざまな感覚において見られ、パニックや突然の不安定状態などの原因の多くが、特定の感覚刺激に対する不快反応によって引き起こされている可能性があります。

それらを回避するためには、感覚の過敏性や鈍感性の状態を観察して、実態把握する必要があります。

感覚過敏といわれている状態の背景には、感覚過敏に対する過剰反応があることが多いと推定されています。

騒々しい音が苦手というように、その刺激自体が嫌な場合や、その刺激を受けたときに他の不快な状況があり、その刺激が不快な情動を結びつけられてしまうという条件付けがされている場合、さらにその刺激の意味がわからずに不安となっている場合などがあります。

一方、知的障害を伴う自閉症の場合、関連する行動として、時には手を噛んだり、頭を何かにぶつけたりするといった自傷行為が見られることもあり、また身体を前後に揺すったり、手をひらひらさせたりするなどを繰り返すという常同的な行動があることもあります。

刺激の過剰選択性とは、事物のある一つの要素だけに、常に同様に反応をすることや、ある一つの要素でしか物事を捉えていない状態を指します。

物事の全体像の把握が苦手な自閉症の特徴を示す考え方の一つです。

例えば、あごひげのある人には誰であってもパパと呼んだり、あるいは父親が眼鏡を外してしまうと、父親がどこかへ消えてしまったような反応を示したりすることがあります。

父親という存在からの情報には、男性、親、顔の特徴などさまざまな多次元的な要素が含まれていますが、その一つだけに反応することです。

これらの刺激の過剰選択性に関する現象は、シングルフォーカスという用語で説明されることもあります。

知能テストの項目に著しいアンバランスがあることに関しては、例えば知的発達に遅れがある場合、自閉症を伴わない知的障害のある子どもとは違いが見られ、下位検査間で偏りがあり、言語性の下位検査に比べて動作性の検査の成績がよい傾向があります。

つまり、見本と同じように組みわせる問題などで成績がよい傾向が見られることがあります。

このほかに、自閉症の特性の一つとして、不器用さがあげられ、運動や製作などにおいて配慮をする必要があります。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

発達障害を理解するためのコンテンツ

発達障害者支援法

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