2020年4月25日土曜日

発達障害児は薬が苦手な特別な理由、発達障害はゲーム依存症が出やすいのか、発達障害児の親にも根拠のない励ましは避ける、発達障害児の犯罪率が高いというのは本当か、発達障害は不快を感じる嗅覚が敏感

発達障害児は薬が苦手な特別な理由、発達障害はゲーム依存症が出やすいのか、発達障害児の親にも根拠のない励ましは避ける、発達障害児の犯罪率が高いというのは本当か、発達障害は不快を感じる嗅覚が敏感について

#1
 発達障害児は薬が苦手な特別な理由

#2 発達障害はゲーム依存症が出やすいのか

#3 発達障害児の親にも根拠のない励ましは避ける

#4 発達障害児の犯罪率が高いというのは本当か

#5
 発達障害は不快を感じる嗅覚が敏感

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

発達障害児は薬が苦手な特別な理由

子ども用の薬は飲みやすいように作られているというイメージがあります。

苦い薬は甘いコーティングがされています。

しかし、重度の病気の場合には、わざわざコーティングを外している場合もあります。

これでは通常でも飲みにくいことになりますが、発達障害の子どもの中には感覚過敏があり、味覚過敏のために薬を飲ませるのに親が苦労しているという悩みを聞くことがあります。

薬が苦いのは苦い成分が水に溶けにくいからで、水に溶けにくくすることで吸収しやすくするために、あえて苦くしています。

どうして重度の子どもの場合にコーティングが外されているのかというと、病気によっては子ども用の薬が作られていないことがあるからです。

入院している子どものうち40%ほどが大人用の薬を使用しているという実態があります。
薬は身体の大きさや代謝能力によって使用される量が違います。

子どもの場合は量が減らされるわけですが、大人用の薬を使用するときには、薬をすり潰して、そこから子ども用の量を取り出すようにされています。

すり潰すときにコーティングが外れて、苦い薬を、そのまま飲まなければならないことになるのです。

子どもの数が急激に減る超少子化のために、子ども用の薬を開発しても販売量が少なく、開発費が高くなるという事情もあるのですが、欧米では薬を開発するときには子ども用も同時に開発するのが一般的です。

中には義務づけられている国もあります。

発達障害児は、味覚過敏、触覚過敏から通常の食品、料理でさえ食べられないということがみられますが、味覚過敏で特に厄介なのは苦味に対する過敏反応です。

苦味は、そもそも有害物に特徴的な味で、幼いときには食べられないものが、だんだんと味に慣れていって食べられるようになっていくのが通常の発育です。

しかし、味覚過敏だと苦味への拒否反応が強いまま成長するので、苦い薬には強い拒否反応があり、それがコーティングなしで飲むとなると、飲むことは苦痛でしかないという実情を知ってほしいのです。

#2

発達障害はゲーム依存症が出やすいのか

ゲーム依存症という言葉は、これまでは病名ではなくて社会的な呼び名のようなところがありましたが、これからは病気の一つとして治療対象になっていきます。

このことを決めたのはWHO(世界保健機関)で、2018年5月に病気の名称と症状を示す国際疾病分類にゲーム障害を加えました。

これを受けてゲーム障害の原因となるゲーム依存症も早期発見、早期治療の対象とされるようになったということです。

国際疾病分類によると、ゲームをする時間や頻度を自ら制御できない、ゲームを最優先する、問題が起きているのにゲームを続ける、といった状態が12か月以上続いているうえに、社会生活に重大な支障が出ているとゲーム障害と診断されます。

ゲーム障害は、中毒のようなものと考えられていますが、中毒症状では要因から離れると状態が悪くなることが知られています。

ゲーム障害ではイライラのために他人に八つ当たりする、朝起きられない、自律神経の調整が乱れて昼夜の活動が逆転するといったことが起こりやすくなります。

ゲーム依存についての全国調査が実施され、過去1年間にゲームをした10〜29歳の4400人を対象にして調べられたところ、1日あたりのゲーム時間は1時間未満が40.1%、1時間以上2時間未満が27.1%、2時間以上3時間未満が14.6%となっていて、中には6時間以上という、これは間違いなく依存症という場合も2.8%いました。

これは当たり前のコメントですが、全国調査によると1日当たりのゲーム時間が長いほど、ゲームを止めようとしても止められなかった、学業に悪影響が出た、仕事を失ってもゲームを続けた、睡眠障害が出てもゲームを続けたという答えが多くなっていました。

発達障害の自閉症スペクトラム障害は、こだわりが強くて、引きこもってでも一つのことに熱中して続けてしまうことがあり、簡単にスマホでゲームができる環境では、ゲーム障害に陥る可能性が高いということです。

また、ゲーム依存症からゲーム障害に進むかは自律神経の調整能力に関わっていて、発達障害児は自律神経調整が乱れやすいので、ゲーム障害になる可能性が特に強いということを意識して、対応してほしいのです。

#3

発達障害児の親にも根拠のない励ましは避ける

発達障害児には根拠のない励ましをすると、それは状態を悪くさせることにもなるという話を以前にしました。

周囲からは注意をしていないように、頑張っていないように見えたとしても、本人は頑張っていて、それが生きにくさにつながっているからです。

発達障害を理解せずに、普通とは違った行動をする人を叱ったりすると、状態を悪化させるようなことにもなりかねないのです。

これは子どもに限ったことではなく、発達障害児の親も大きな悩みを抱えていて、頑張っても、それが報われない、周囲から厳しい目で見られるということがあります。

子どもが発達障害の特性そのものの行動をしたときに、「親の躾(しつけ)がなっていない」という視線を向けるだけならまだしも、言葉にして親のほうを叱る人までいます。

叱るのとは逆に、頑張ってほしいと励ます人もいるのですが、頑張っている人にとっては、これは辛い言葉にもなります。

発達障害児の親の集まりでのこと、「発達障害児は優れた能力を秘めているのだから、それを引き出してあげなければいけない」という発言している人がいました。

これが発達障害児の面倒をみてあげたことがない人の発言だったらわからないでもないのですが、発達障害児の親の発言であったことを知ったときには驚いてしまいました。

発達障害児の中でも、自閉症スペクトラム障害の子どもの中には飛び抜けた才能を発揮することは確かにあります。

しかし、全員ではないのです。期待をかけすぎることは子どもにも、その親にも酷なことです。

発達障害児の割合は10%とされていますが、その中の10%ほどからは優れた才能が認められるという報告があります。

この確率で計算をすると1%になります。子どもが100人いれば、1人くらいは周囲を驚かせるくらいの天才、秀才がいても特別なことではないかもしれません。

励ますことはいけないとは言いませんが、励ましすぎ、根拠のない励ましは励ましているというよりも、まるで責めているようなことにもなりかねないということを知っておいてほしいのです。

#4

発達障害児の犯罪率が高いというのは本当か

発達障害児・発達障害者は、消費被害者になりやすく、そのための対策や教育に公的機関も取り組んでいます。

消費被害者対策も、発達障害者を対象とした対策で重要な位置を占めるようになりました。

人を疑わない、素直すぎることから騙されやすいということですが、本人の思いとは逆に騙す側に回ってしまったという例もありました。

これは発達障害者が騙そうとしたというのではなくて、騙そうとする悪い人に悪用されてしまったということで、あくまで発達障害者は被害者です。

消費問題については圧倒的に被害者になりやすいわけですが、ほかのことでは加害者になる場合もあると指摘されています。

全国的な統計はまだなくて、部分的な調査結果だけで語るべきではないということは承知しているのですが、あたかも統計によって裏付けられているかのような伝え方もされていることから、あえて紹介させてもらいます。

これは『発達障害と少年犯罪』(新潮新書)の中でも触れられている数字で、少年犯罪は全般的には0.35%の発生率ですが、18歳未満の発達障害児では4.2%と高確率だとされています。

計算するとピッタリ12倍なので、発達障害児の犯罪率の「12倍」という数字だけが一人歩きをし始めています。

国の統計では15歳未満人口が発表されていて、約1533万人となっています。

あくまで概算ですが、発達障害児が10%とすると約153万人、そのうちの4.2%となると、少年の間に6万4000人ほどが犯罪を起こす確率で、年間では4200人ほどとなります。

社会との交流が苦手で、感情のコントロールができにくい、という特性は何も発達障害に限ったことではなくて、若い世代には共通してみられることではあるものの、その特性が強く現れていると犯罪に巻き込まれやすく、自制がかかりにくいことから犯罪と捉えられることにもなりかねません。

興味のあることに集中しただけなのに、これが付きまといや待ち伏せ、ストーカー行為とされることもあります。

発達障害児を早期に発見して、早期に支援をしていれば、そこまで進まなかったということを考えると、発達障害であることが明らかになっても問題がない、隠すことがないという環境を作りのために、まずは発達障害の理解を進める活動に取り組むことが大切だと考えています。

#5

発達障害は不快を感じる嗅覚が敏感

人間の五感の視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚のうち、80%ほどは視覚からの情報となっています。

視覚が奪われると聴覚、嗅覚が敏感に反応するようになります。

味覚も触覚も心地よい体験があった場合には、それが記憶として残されていて、過去によくない記憶があると心地よくないどころか、不快に感じることもあります。

ところが、嗅覚だけは過去の記憶の有無には関係がなく、心地よい“匂い”は誰にとっても心地よくて、不快な“臭い”は誰にとっても不快でしかありません。

これは脳の機能と関係しています。

視覚、聴覚、味覚、触覚は脳の中で人間の理性的な感覚を司っている新皮質で、過去の記憶と照らし合わせて、快感なのか不快感なのかの判断をしています。

それに対して嗅覚だけは快感を与える“匂い”には心地よい反応が起こり、不快感を感じる“臭い”は誰もが避けたくなり、逃げ出したいような感情が起こります。

そう感じたときには正常な状態ではいられなくなるのですが、発達障害の自閉症スペクトラム障害の感覚過敏では、嗅覚が敏感に反応しすぎて、通常よりも強い不快感を感じてしまいます。

嗅覚過敏では、匂い・臭いの嗅ぎ分けが苦手で、鼻から入ってきた匂い物質がすべて嗅覚神経を刺激して、その情報が脳までストレートに届けられてしまいます。

嗅覚を刺激する不快と感じる臭いは、発達障害児にとっては精神的に強い苦痛でしかありません。

これは人間の理性を司る新皮質ではなく、動物的な旧皮質でもなくて、“爬虫類の脳”と呼ばれる生命維持のための中枢部分の働きに関係しています。

臭いは生命の危機を感じさせる刺激となっているのです。

強い刺激の臭いであっても、嗅ぎ慣れているうちに感覚が鈍ってきて、強く感じなくなることもあります。

ところが、発達障害児は慣れることが少なく、ずっと悩まされ続けているということを知っておいてほしいのです。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

発達障害を理解するためのコンテンツ

発達障害者支援法

0 件のコメント:

コメントを投稿