2020年4月27日月曜日

発達障害の五感以外の食事の障害、シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある、発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは、自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由、発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくい

発達障害の五感以外の食事の障害、シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある、発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは、自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由、発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくいについて

#1
 発達障害の五感以外の食事の障害

#2 シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある

#3 発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは

#4 自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由

#5
 発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくい

発達障害を理解するためのコンテンツ 

発達障害者支援法


#1

発達障害の五感以外の食事の障害

発達障害の自閉症スペクトラム障害にみられる感覚過敏について、五感に関係するものについて紹介してきましたが、五感とは関係がないところで食べられないものがある発達障害児も少なくありません。

牛乳が飲めないという子どもについては何回か紹介してきましたが、牛が嫌いだから牛乳が飲めない、友達が以前に牛乳を飲んで吐いたことがあるので飲めなくなった、というのはまだ理解ができないことはありません。

ビンの牛乳やコップに入った牛乳なら飲めるのに、牛乳パックにストローを挿して飲むことができないという子どももいます。

これについて原因を聞き集めたところ、牛乳パックを持ったときにストローから牛乳が出て、指が汚れて気持ちが悪かったのが始まりだったという子どもが案外に多くて、驚いたことがあります。

指先のヌルヌルした感触が嫌いで、また経験するのが嫌で牛乳パックでだけは飲めないとなると、通常の食事指導の範囲を超えています。

温度も食事には重要で、温かなご飯は食べられても、冷めたご飯が食べられないという子どももいます。

これは単に温度が違うからということではなくて、米のでんぷんの性質も関係しています。

米は炊飯や蒸煮などによって加水加熱するとアミロースの結合が崩れて、でんぷんが糊化します。

この状態をα(アルファ)化といいます。

α化した米のでんぷんは熱が冷めていくとβ(ベータ)化して老化した状態になります。

粘性が失われて、消化が悪い状態になります。

粘度が高いコシヒカリ系の米はβ化するとおいしくなくなりますが、粘度が低いササニシキ系の米はβ化してもおいしさが残るという特徴があります。

米を変えることで、冷めたご飯は食べられないということがなくなり、その成功体験が冷めた料理でも食べられるようになる、ということもあります。

家で飲食している米と銘柄が違うと食べられないという子どももいますが、これも炊飯米の性質が関係しているようです。

餅はα化したしたあとにβ化しにくいのですが、ネバネバのために喉に詰まりやすくなっています。

餅は飲み込み能力が高い若い世代が喉に詰まることは少ないものの、喉に詰まることがあると思っただけで食べられない子どももいます。

このほかに、使い慣れた食器でないと食べられない、加工食品しか食べられない、不衛生な台所で作ったものは食べられないということもあります。

さらに、母親が強制したことが嫌いになった食べ物がある、苦手な食品を知らない間に入れられたから家で食べたくない、ということまであって、食事の困難さを克服するのは大変です。

#2

シニアの発達障害は軽度認知障害と勘違いされることもある

発達障害者は年齢を重ねていくと、軽度認知障害と勘違いされるような症状がみられることがあります。

軽度認知障害の特徴を知って、正しく判断するようにしてほしいものです。

認知症患者は462万人(2012年統計)、その予備群である軽度認知障害患者は400万人と推定されています。

これを合わせた862万人は65歳以上の4人に1人の割合となっています。

認知症と軽度認知障害の患者は高齢化が進む我が国においては増え続ける一方で、2025年には認知症患者は700万人、軽度認知障害は600万人を超えると推定されています。

2025年の65歳以上の推定人口は3657万人であり、認知症患者と軽度認知障害患者を合わせた1300万人は高齢者の2.8人に1人にもなります。

軽度認知障害(MCI:Mind Cognitive mpairment)は厚生労働省研究班によって認知症の前段階として位置づけられ、従来の認知症の診断基準に示された項目を満たすようになった段階では、もはや早期とはいえないと指摘されています。

軽度認知障害と認知症は特定の疾患ではなく認知機能低下症状におけるステージや状態を示すもので、潜在的な疾病、疾患や身体状態が引き金になるとされています。

軽度認知障害のリスクとしては、加齢にプラスして脳卒中(隠れ脳梗塞を含む)、心疾患(心筋梗塞など)、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧、メタボリックシンドローム、肥満、喫煙歴、アルコール・薬物の影響、不健康な食生活、心身エクササイズの欠如、ストレスや不安、うつ病などがあげられています。

軽度認知障害と診断されても、的確な治療薬は存在していません。

認知症の治療薬は複数あって、研究が急速に進んでいることに比べると、ほとんど有効な治療薬がないのと同じ状態で、軽度認知障害と診断されても、食事での改善としてバランスの取れた栄養補給、運動での改善として適度な運動習慣、そして充分な休養としての休息と睡眠の確保が指示されるのがほとんどです。

こうした指導によって軽度認知障害からの改善がみられる人は約30%で、約20%が軽度認知障害のままで維持され、1年で10?15%が認知症になり、5年で約50%が認知症に進行しています。

このような状態を改善するためには、要因の一つとなっている生活習慣病の改善が重要となりますが、さらに生活習慣病対策の栄養と運動、認知機能の向上につながる運動や生活改善も、有効な治療薬がない段階では積極的に取り組むべきこととなっています。

#3

発達障害と勘違いされる発達性協調運動障害とは

発達障害と勘違いされることの一つに、発達性協調運動障害があります。

発達性協調運動障害は「脳性まひや神経や筋肉の病気など、何らかの診断名がついていないにも関わらず、日常生活に支障が出るほどの不器用さがある状態」を指しています。

わかりにくい表現をされていますが、簡単に説明すると、極端な不器用な状態で、靴の紐が結べない、平らなところでも転んでしまうということが起こります。

子どもに多くて、発達性協調運動障害がある子どもは、6~10%ほどだと言われます。

自閉症スペクトラム障害と似たようなところがありますが、発達障害は自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害を合わせて10%ほどとされているので、かなりの割合だといえます。

また、どちらも10%ほどだとしたら、発達障害と発達性協調運動障害の両方を抱えている子どもも多いことになり、発達障害児の支援を考えるときには、発達性協調運動障害についても知っておく必要があるということです。

発達性協調運動障害の子どもは、体の各部分や筋肉を強調して働かせる活動(協調活動)が苦手だという特徴があります。

転びやすいうえに、転んだときには腕、頭などを上手に動かして危険がないようにしなければならないところですが、どう体を動かしてよいのかわからず、いわゆる受け身が取れずに、顔から床に突っ込んでしまうことにもなりかねません。

発達性協調運動障害は粗大運動の不器用さと手先の不器用さに大きく分けられます。

粗大運動の不器用さのほうは、大きな動き、ダイナミックな動きがスムーズに行えないもので、ジャンプができない、縄跳びが跳べないといったことから、うまく走れないという子どももいます。

そこまでいかなくてもラジオ体操の動きがぎごちないことから気づくこともあります。

手先の不器用さは、一般にみられる不器用で、靴の紐が結べないということに加えて、ハサミが上手に使えない、字が上手に書けない、折り紙が折れない、というのが、よくみられることです。

#4

自閉症スペクトラム障害が道具を使うのが苦手な理由

発達障害の自閉症スペクトラム障害の人は、道具を使った運動や作業が苦手であるのは、道具を身体の一部のように感じられない可能性があることを、国立障害者リハビリテーション研究所と静岡大学の研究グループが研究成果をまとめて、世界発表しました。

研究グループによると、コミュニケーションに困難を抱える自閉症スペクトラム障害の人には球技や書道、工作などが苦手な傾向が見られ、周囲の理解を得られずに孤立することがあり、一人ひとりの障害特性に応じた支援や訓練につなげることを目的に研究が始められました。

手にした道具の上で起きる錯覚現象について自閉症スペクトラム障害の人と、発達障害がない人と、それぞれ13人で比較されました。

その方法ですが、長さが約10cmの細いアルミニウム製の棒を左手と右手の人差し指の上に置いて、目の見えない状態で最初に左手の指の上を0.8秒間隔で連続2回、0.1秒後に右手の指の上を1回叩いて、どのように感じるかが調べられました。

多くの場合は、脳が棒を体の一部として捉えて、ウサギが跳ねるように2回目は棒の真ん中、3回目は右手の少し左側という、叩かれていない場所に刺激を感じる皮膚ウサギ錯覚が生じます。

発達障害がない人は13人ともに錯覚を認識したのに対して、自閉症スペクトラム障害の人のうち5人は2回目の棒上の刺激をほとんど感じませんでした。

この5人全員が球技などの運動が苦手だったといいます。

自閉症スペクトラム障害の子どもは運動が苦手なことが多く、運動をすることによって運動機能が鍛えられるとして、発達支援として運動指導が行われます。

従来の方法がうまくいかないという子どもも当たり前のように存在していますが、今回の研究成果を踏まえて、運動療法の方法を検討することも必要かもしれません。

#5

発達障害の注意欠如・多動性障害は理解されにくい

発達障害の注意欠如・多動性障害は年齢や発達に不相応に不注意、落ち着きのなさ、衝動性などの問題が生活や学業に影響をしていて、その状態が6か月以上継続していることと定義されています。

注意欠如・多動性障害は、不注意と多動性・衝動性の特徴のうち、それぞれの特性が6つ以上、当てはまるものと診断されます。

不注意では、
①学業・仕事などで綿密に注意できずに不注意な間違いをする、

②課題・遊びの活動中に注意を持続できない、

③直接話しかけられたときに聞いていないように見える、

④指示に従えずに学業・用事・職場での義務をやり遂げられない、

⑤課題や活動を順序立てられない、

⑥精神的能力の持続を要する課題、

⑦必要なものをしばしばなくしてしまう、

⑧すぐに気が散ってしまう、

⑨忘れっぽい、

がチェックされる項目です。


多動性・衝動性では、

①しばしば手足をそわそわ動かしたりトントン叩いたり、

②椅子の上でもじもじする、

③席についていることが求められる場面で席を離れる、不適切な状況で走り回ったり高いところに登ったりする、

④静かに遊んだり余暇活動につくことができない、

⑤じっとしていられない、

⑥しゃべりすぎる、

⑦質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう、他の人の言葉の続きを言ってしまう、会話で自分の番を待てない、

⑧順番を待つことができない、

⑨他人を妨害、邪魔する、
となっています。

このような注意欠如・多動性障害の特性は、なかなか理解されずに、本人の努力が足りない、親が努力させていない、育て方が間違っている、しつけがなっていないなどと言われたり、怠け者という誤ったレッテルが貼られてしまうことがあります。

あくまで注意欠如・多動性障害は発達障害の一つで、生まれながらの脳の発達のズレがあり、そのために脳の機能に特性が生じているからであって、本人のせいでも親のせいでもないことは理解してもらう必要があります。

特定非営利活動法人日本メディカルダイエット支援機構

理事長 小林正人様

より掲載依頼をいただきましたので、掲載しております。

発達障害を理解するためのコンテンツ

発達障害者支援法

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